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現場に生かす天気の話
第10回 熱中症予防のタイミング

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 梅雨が明けるといよいよ夏本番です。8月に掛けて暑さは嫌が上にも増してきます。熱中症に最も注意が必要な時期です。建設現場での熱中症を予防する上で、意識しておくべきタイミングが二つあります。それは「作業開始からの3日間」と「午前中」です。
 厚生労働省の「職場での熱中症死亡者数に関する調査」の結果によると、熱中症による死亡者の多くが、作業初日から3日目に集中しています(グラフ@)。原因としては、新たな作業現場に入った直後では、体が暑さに慣れていないことが挙げられます。加えて、緊張感や意気込み・集中などによって、体調の変化に気付づかなかったり「休憩を取る」という意識が働きにくくなったりするためです。
 そして、もう一つ重要なのは「午前中から発症する」という点です。グラフAの、熱中症の「発生時刻と死亡者数」によると、午前中から多く発生していることが分かります。気温が30度を超えると熱中症の搬送者数が急増すると言われており、近年は、東京のように午前中から30度を超える地域が多くなっていることが原因です(グラフB)。熱中症は湿度や輻射熱(日差し・照り返しの強さ)にも関係します。午前中は湿度が高いため体に熱がこもりやすく、熱中症を発症しやすいということも考えられます。
 現場では、気温・湿度・輻射熱を加味した暑さの指数(WBGT値)を基に、対策を取る必要があります。WBGT値を基にした熱中症の危険度情報は、環境省や民間の気象会社のサイトでも見られます。作業前に情報を確認し、危険度の高い日には早い時間から熱中症対策を心掛けましょう。

執筆者プロフィール

ライフビジネスウェザー 気象予報士 赤坂大樹

赤坂大樹
ライフビジネスウェザー 気象予報士
kiyomasa@lbw.jp
ライフビジネスウェザー 建設ソリューションTOP URL:http://kiyomasa.lbw.jp/index.html