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全建 全国ブロック会議・地域懇談会 第7回 北海道 不適切発注事務の市町村公表を提案

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 全国建設業協会と国土交通省、北海道建設業協会は、札幌グランドホテルで地域懇談会を開いた。改正公共工事品質確保促進法(改正品確法)などをテーマに、企業経営の採算性や建設業従事者の雇用問題について討議。道建協は、同法が定める「発注者の責務」に期待し、適正な利潤の確保が技能者の賃金や福利厚生の改善につながり、職場の魅力づくりと好循環が生まれるよう、地方自治体への指導を要請した。また歩切り≠ヘ不適切な発注事務として市町村名の公表を提案し、低入札価格調査基準は95%以上での設定を求めた。

 全国9ブロックで開いている地域懇談会の北海道ブロック。全建から近藤晴貞会長ら、国交省から吉田光市建設流通政策審議官と田村秀夫技術調査課長、北村知久建設業課長、岡部和憲北海道開発局長らが臨んだ。道建協からは岩田圭剛会長をはじめ役員ら21人が出席した。

 岩田会長は「前倒し発注が進み、業況に減速感が出てきた。競争激化の再来が懸念される」と現状を説明。地域建設業の経営安定化に向けて「『公共事業は東京五輪まで』との声を聞くが、社会資本整備の長期計画を決め、安定的な予算を確保してほしい」と要請した。

 吉田建流審は「人手が足りないから執行できないという論調は誤解だ」と公共事業抑制論を否定。近藤会長は「適正な価格と工期設定があれば消化余力に懸念はない。公共予算はピーク時の6割に及ばない水準」と一部報道を批判した。

 改正品確法については、経営の安定化につながる発注者の責務≠ェ運用指針で期待される。道建協は「市町村が順守することで、社会保険未加入の減少など好循環が実現する」と主張。しかし、一部市町村では歩切りや低価格による入札の実態もあることから、「意識改革を進め、発注事務の不適切な市町村は公表してもらいたい」と提案した。

 吉田建流審は「ダンピングや歩切りの解消と発注平準化の工夫を実感し、適正な価格と工期による受注で利益が得られる環境の整備に努めたい」と方針を示した。

 工期設定については、積雪寒冷地という地域特性を考慮し、「工事量の平準化は難しいが、ゼロ国債工事は端境期対策として有効。1年を超えて工期設定できる国庫債務負担行為は、週休2日の確保などが柔軟に対応できる」と雇用環境改善への効果を強調した。

 また、適正な価格を実現するため、最新の労務単価と資材の実勢価格を予定価格に反映させる施策を促進し、低入札価格調査基準の設定範囲を95%以上とするよう要望。適正な利潤の解釈について議論が進むと、国交省は「全建で経営に必要な割合や金額を議論してはどうか」(北村課長)と提案した。

 社会資本整備の維持管理が重要性が高まる中、機材更新やオペレーター確保で利点がある複数年契約で、次年度以降の新単価採用を条件とするよう求めた。

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地方建設専門紙の会
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