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知財ってなんだ? 第2回
権利の存続と保護対象は…「期間中、実施・使用を独占」

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 知的財産権には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権という五つの権利があることをお話ししました。今回は、これらの権利の概要について簡単に説明します。

 まず、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つの権利は産業財産権と呼ばれ、いずれも権利を取得するためには特許庁に出願し、登録を受ける必要があります。これに対し、著作権は、著作物を創作した時点で権利が発生しますので、出願という手続をとることなく著作物が保護されます。いずれも保護対象を独占的に実施または使用することができ、それぞれ権利の存続期間が定められています。

 特許権は、「発明」という技術的アイデアを保護対象とし、権利の存続期間は出願から原則20年です。保護対象としての発明には、「物」の発明、「方法」の発明、「物を生産する方法」の発明があり、プログラムの発明も「物」の発明として保護対象となります。建設分野では、耐震構造、免震装置、組立方法、施工方法、溶接方法、建築資材等に関する発明があります。

 実用新案権は、特許権と同様、技術的アイデア(「発明」ではなく「考案」といいます)のうち物品の形状や構造を保護対象とし、権利の存続期間は出願から10年です。実用新案権は無審査で登録され、「方法」は保護されません。建設分野では、足場の構造、型枠パネル、床材等に関する考案があります。

 意匠権は、物品の形状や模様などのデザインを保護対象とし、権利の存続期間は登録から20年です。部分意匠、関連意匠、組物の意匠、秘密意匠、動的意匠といった特有の制度があります。例えば、建具や組立家屋等のデザインに関する意匠があります(土地に定着した不動産は保護対象になりません)。

 商標権は、商品や役務(サービス)に使用する商標(ブランド)を保護対象とし、権利の存続期間は登録から10年です。但し、10年ずつ権利の存続期間を更新することができます。建設分野では、独自の工法や構造等につけるネーミング等に関する商標があります。

 著作権は、思想または感情を創作的に表現した著作物を保護対象とし、権利の存続期間は著作者の死後50年です。文芸、学術、音楽、美術の分野に属する著作物が保護対象となります。建設分野では、美術館や競技場等の芸術性のある建築物が保護されます。

執筆者プロフィール

特許業務法人アテンダ国際特許事務所 代表 角田 成夫

角田 成夫
特許業務法人アテンダ国際特許事務所 代表
東京電機大学機械工学科卒。旧防衛施設庁建設部で自衛隊や在日米軍の機械設備設計、積算、現場監督などに携わった。その後、都内の特許事務所で知的財産関連業務に従事し、弁理士登録。2014年にアテンダ国際特許事務所を開設。