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MBA社労士流『売手市場のハローワーク求人戦略』 〜欲しい人材が向こうから来てくれる求人票の作り方〜
第4回 ハローワークインターネットサービス

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【ハローワークインターネットサービスとは】
 ハローワークインターネットサービス(以下「HWIS」と略します)とは、ハローワーク(以下「HW」と略します)に登録した求人データを、求職者がWeb上で検索できるオンラインサービスのことです。
 全国480か所のHWが受け付けた求人情報はオンライン上で連動しており、その件数は約127万件(2018年2月16日現在:フルタイムが807,528件、パートが463,949件)にのぼります。主に大手企業が活用するリクナビ、マイナビあたりで約1万件ですから、圧倒的規模です。
 よって、中小企業にとっては、この無料で使えるHWISこそが主戦場となります。

【HWISの特徴】
(情報の公開)
 HWISは、HWに登録されたすべての求人情報が公開されるわけではありません。これは事業者の皆さんがよく勘違いしている点です。HWが受け付けた求人のうち、HWISでインターネット上に公開される求人は、事業者が公開を認めた案件に限ります。そして、どういうわけか、概ね1割の事業者は一般に公開していません。
原因としては、@公開することで求職者以外の方(営業等の勧誘)から連絡があるA同業他社に賃金等の条件が漏洩することが懸念されるB募集ポジションによっては秘密裏に動く必要がある−等です。

(非公開はダメ)
 最近、筆者が相談を受けた例です。HWで求人をしているが全く応募がなく、成果報酬型の紹介事業者を活用していた総合建設業者です。労働条件はもちろん、求人票の現物をみても記載内容に不備はなく、十分に魅力が伝わる内容です。
 ところが、よくよく調べると「事業者名を公開しない」選択になっていました。これでは、求職者には知られようがありません。急ぎ「一般公開」に切り替えたところ、ほどなくして、応募が入り始めました。
 「おそらくは、営業電話を避ける等の目的で事務方が変更したのだろう」が、社長の見立てですが、この間に支出した広告費は数百万円にものぼり、会社にとっては大損害です。
 社長や採用担当者は、今すぐ確認することをお勧めします。多少の営業電話はあっても、本来の目的である求人の反響を増やすためには「一般公開」を選択するべきです。

(検索デバイス)
 HWISのサイト構成はPCでの閲覧を標準としており、スマホなどのモバイル端末には最適化されていません。ただし、あらかじめ厚労省に許可を得た職業紹介事業者などにはデータが供給(API連携)されており、こうした事業者等が手掛けるスマホサイトでは快適に検索が可能です。リクルート社の発表では、今やスマホアプリからの検索が6割を超えているようですから、HWの求人情報も、こうした検索経路を意識したキーワード登録が重要となります。

(データの登録)
 HWISにデータを登録するためには2通りの方法があります。一般的にはHWの窓口で求人申込書(ピンクのOCR帳票)に記入して登録すると、その日の夜間にHWISに登録されます。これは旧来からの手法です。
 もう一つは、事業者のパソコンからWebを介して求人申込データを仮登録する方法があります。これは、求人申込書を手書きする負担を軽減するために設けられたものです。
 筆者が毎月開催する「すごい求人票セミナー」には述べ450名ほどの企業が出席していますが、HWISのWeb仮登録を利用している企業は1割に満たない状況です。これは、実にもったいないことです。せっかく、業務効率アップのために厚労省が導入した仕組みです。働き方改革にも繋がるシステムを大いに活用いただきたいと思います。

(データの更新)
 その日に登録された求人情報を、午後9時半時点で確定・集約し、翌日の午前6時頃に最新情報として更新されます。つまり、HWISに公開される情報は1日のタイムラグがあります。

【HWISへの登録方法】
 HWISを初めて活用する際は、ハローワークから専用のIDをもらう必要があります。
 また、Webからの入力はあくまでも仮登録であり、1週間以内にHW窓口に出向く必要があるなど、通常の求人登録とは異なった手続きが必要です。詳しくは、厚労省のサイトに譲りますが、図表2に概略を示しましたので、参考にされてください。


 今回は、「ハローワークインターネットサービス」について確認しました。自社の求人情報が全国どこから誰でも検索できる状態になっているか、再度、採用責任者は確認してください。

 次回は、敵を知り、己を知らば、百戦危うからず。求める人材がどうやって「我が社の求人票に辿り着くのか」そして、我々はどう仕掛けるべきか、を解説します。

執筆者プロフィール

中小企業診断士事務所 みらいの経営代表(0円求人コンサルタント) 山崎広輝

山崎広輝
中小企業診断士事務所 みらいの経営代表(0円求人コンサルタント)
info@miraino.biz
ハローワークで20年間、毎月200人を採用してきた「社労士なのに経営ができる・わかるMBA社労士」元大東ビジネスセンター(株)代表取締役 https://www.miraino.biz