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■「中小建設企業の会社法」=第4回 「1人役員(取締役)は得か」

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 その昔、建設業は登録制であり技術者のみ1人いればよかった時代がありました。昭和46年3月の建設業法改正により登録制が許可制となり技術者の他、経営業務管理責任者(以下経管と言う)が必要となりました。
経管は、建設会社の役員期間が5年以上あることが要求されます。このたびの新会社法によれば、会社設立要件が緩和され、1人役員の設立が可能となりました。建設会社の1人役員の存在は、果たして得なのでしょうか。       
経管は、5年以上の役員期間が必要であると述べました。一代で建設会社を終了するというのであれば1人役員でも問題となりません。
しかし、事業の承継を目途とするのであれば、役員は常に代わりになる人、即ち承継人のことを考えて2人以上置く必要があると言えます。承継は、会社を永久、長期間に亘り存続させることを意味しており、会社のリスク管理にもなります。近頃、専門職種である大工職、とび土工工事の斫り工等が減少していますが、このような職種は、従来個人伝承の色彩の強い仕事であり、組織化には馴染みませんでしたが、個人的業務でも承継を考えれば法人化が望ましいと考えます。そして法人化している場合、2人以上の複数人の役員が存在していることが理想です。
新会社法によって有限会社の制度が無くなりました。そこで、小会社の有限会社を補完する新会社法の株式会社は、役員1人であっても会社が成立し、建設を営む株式会社でも、同様であります。前述の事業承継を考えるならば自前で次の承継者を配置し、2人以上の役員を置き役員任期も5年以上にしておくことが得策です。


建設業法実務研究会 http://www.primoss.jp/kgk/


執筆者プロフィール

建設業法実務研究会 行政書士 矢島英夫