今度こそ「週休2日制」の実現を
2014/6/23
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国土交通省、建設業団体、学識者らで構成する「建設産業活性化会議」(座長・木毅副国交相)は今週26日の会合で、中長期的な担い手確保に向けた施策を盛り込む中間報告を正式決定する。1月から議論してきたさまざまな課題と解決の方向を整理したもので、▽技能者の処遇改善▽若手の早期活躍の推進▽将来を見通すことのできる環境整備▽教育訓練の充実▽女性のさらなる活躍の推進▽建設生産システムの省力化・効率化・高度化―の6本柱を掲げる。
施策の中で目を引くのは「週休2日制の実現」だ。そこでは発注者・元請け・下請けが一体となって、4週8休の休暇が取れるような工期設定と価格での発注・契約を促進。工程管理を徹底するなどして現場の土日閉所を進め、やむを得ず工期を延長する場合も設計変更やコスト負担に適切に対応するとしている。
ただ、建設業の「週休2日制」は決して目新しい話ではない。
今から17年前の1997年5月、当時の建設省は「直轄工事の工期設定及び作業不能日の条件明示について」と題する文書で、既に▽工期設定は4週8休(完全週休2日制)対応▽週所定労働時間40時間制に対応した適正な積算を実施▽降水(降雨・降雪)などによる作業不能日数を特記仕様書に条件明示―と規定している。
業界も技能者の長時間労働を考慮して、日曜100%、土曜50%の作業所一斉閉所(日本建設業団体連合会、当時)を目標に活動を展開してきた。
しかし、その後の急激な建設投資の縮小、団塊世代の大量退職、採算悪化に伴うリストラの断行、激しい受注競争下での利益の追求などを背景に、業界は土日を返上しても現場を稼働させなければならなくなった。
ある自治体では「建設業界の休日は、公共工事・民間工事を問わず、盆休み・年末年始のほか基本的に日曜日を休日とし、土曜日は工事を行うのが通例」とさえ考えている。
仕事はきつい、作業環境は厳しい、実入りは少ない、休みは取れない―。これでは若者でなくても不安を覚えるのは当然だろう。最悪の場合、2025年に建設業就業者はピーク時(97年)から65%減の約240万人まで落ち込むとの推計もある。
建設業を目指す人たち、現に建設業で働く人たちから、ものづくりの喜びを通じて国民の安全・安心に貢献しようと考える気持ちが失われる前に、あらゆる手立てを講じる必要がある。
防災・減災、老朽化対策、五輪と建設需要は拡大に転じ、労務単価も引き上げられた。担い手確保をうたう改正品確法は今国会で全会一致で可決成立した。
「政・官・民が同じ思いで一体となって活動している。夢のある建設業の再生にとって絶好の機会。この機会を逃したらチャンスはない」(近藤晴貞全国建設業協会会長)。労働人口が減少に向かう中、週休2日制は適切な賃金水準や社会保険加入などとともに、他産業に伍して担い手を確保するための大前提となる。今度こそ実現させたい。
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