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活用したい「建築物石綿調査者」

2016/5/21 

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総務省が行政評価法に基づき「アスベスト対策」に関する勧告を、環境・厚生労働・国土交通・総務―の4省に対して行った。特筆すべきは東日本大震災などこれまでの震災の教訓を生かすため、災害時のアスベスト飛散・ばく露防止対策の徹底を求めている点だ。熊本地震の被災地では、り災証明書の発行の遅れが指摘されているが、間もなく被災した建物や工作物の解体、撤去が本格化することが予想される。被災民、善意のボランティア、官民の復旧作業従事者らのアスベストばく露による健康被害の発生だけは、何としても防ぎたい。
 災害対策基本法第34条に基づき中央防災会議が策定している「防災基本計画」(2015年7月)では、地方公共団体は災害時において、アスベストの飛散を防止するため、解体工事を行う事業者などへの指導・助言のほか、施設の点検、応急措置、関係機関への連絡、環境モニタリングなどの対策を行うこととされている。地方公共団体は、同計画に基づき地域防災計画を作成しなければならない。
 しかし、総務省が実施した調査によると、39県市のうち7県市は、地域防災計画の中で災害時のアスベスト対策を規定していなかった。「災害時におけるアスベスト飛散・ばく露対策の必要性を認識していなかった」ことなどがその理由だ。中には「今後も地域防災計画に規定する予定はない」と答えた自治体もある。社会問題となったクボタショックを契機として、当時の小泉内閣が「すき間のない総合対策」に取り組み始めて今年で11年。いまだに自治体職員のアスベストリスクへの認識は高いとは言えない状況だ。
 災害対策の中でも、特に改善を急ぎたいのは、応急危険度判定の際に被災建物物などのアスベストの使用や粉じん飛散の危険性を確認する手段、方法だ。
 環境省が阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて策定した「災害時対応マニュアル」では、市町村職員や応急危険度判定士が「応急危険度判定時のアスベスト調査」を行い、飛散防止措置の必要性を建築物所有者に連絡することとされている。
 だが、この規定は現実的ではない。被災者の救援や応急復旧活動が優先される発災直後に、アスベストの飛散・ばく露の危険性に目配りすることは難しい。現に総務省が調査した16県のうち、判定時にアスベスト調査を実施するとしていたのはわずか2県だけだった。
 総務省は環境省に災害時の対策強化を県市に促すよう求めた。だが災害対応の強化を勧告するのであれば、それはまず国土交通省からであるべきだ。なぜなら、この国にストックされた建築物・工作物の数は余りに膨大であり、建築行政が主体的に、それも平常時に対策を推進しないことにはアスベストリスクを低減することはできないからだ。
 勧告は一方で、国交省にアスベスト台帳の整備を県市に促すように求めた。同省にはアスベスト対策の推進を目的に制度設計した「建築物石綿含有建材調査者資格者制度」がある。これを災害対応にも積極的かつ有効に活用し、平常時から建築物のアスベスト調査を推進するためのスキームを再構築すべきだ。

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