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建通新聞プレゼンツ「私たちの時代」 (電子版)

2024/3/14 中部版 掲載記事より

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場所はレクサス長良.JPG

場所はレクサス長良.JPG

建通新聞は、さまざまなジャンルで活躍するゲストを迎え、多彩な話題や事象を取り上げる対談企画「私たちの時代」をスタートさせます。建設業界にこだわらず、共通の話題を持つ人たちによる対談。そこから業界や経営の今につながる言葉を探ります。初回のゲストは測量設計業のユニオン(岐阜市)の村橋塁代表と岐阜トヨペット(岐阜市)の加藤茂樹代表。昭和47年生まれの52才、海外生活や農業進出など共通点の多い2人の話は、ビジネスの課題、社員教育、今後の展望などにおよびました。(文・構成は岐阜支局=永井孝明)

【旅先での文化体験と個人の成長】
――出会いのきっかけは?
 加藤「30年数年前に共通の友人から紹介されたのがきっかけ。メキシコで知り合った友人と富士山でのイベントに行った際、『仲の良い岐阜の友人がいるから紹介するよ』と言われ、村橋さんと出会った。当時はお互い経営者になる前で、いろいろバカなことやって遊んだよね」
 村橋「当時は20代後半ぐらい。旅や音楽など共通の趣味に熱を上げていて、特に皆既日食はよく見に行ったよね。それぞれがベネズエラ、ハンガリー、オーストラリア、奄美大島と、まるで『日食ハンター的』な感じで、世界中を旅していた」
 加藤「仕事してお金をためて、その貯金を握りしめて仕事を辞めて海外に行っちゃう。最初のころは日本と海外を行ったり来たりだったけど、30〜34才まで3年はまるまる行きっぱなし。もうぐるっと地球一周ぐらいの感じで旅をしていた」
 村橋「僕は日本と海外を行ったり来たり。中南米、欧州を旅して、お金が尽きたら帰ってくる。言葉は基本的に現地で覚える。英語とスペイン語があればなんとか生活はできていた」
 加藤「英語は世界共通語だから、学生時代にしっかり勉強しておけばよかったって、今になって思うけどね(笑)。異国の文化に触れて、そこから得た知見みたいなものが、かなりのレベルで今に生きている」
 村橋「僕は海外生活で人付き合いを学んだ。誰しも『苦手な人』っていると思うけど、外国に行ったら好き嫌いなんて言っていられない。お互いに相いれない『価値観』でも、相手のことを尊重しなければやっていけないんだよね。これは今の仕事にも生きていて、トラブルになった時に自分の立場や考えを押し付けると、人間関係はそれっきりになってしまう。相手の価値観を受け入れることから始めれば、解決策は見つかると思うんだよね」
 加藤「僕は常識の破壊かな。それまでは、『これが普通です』『当たり前です』って言われれば、『そんなもんか』って自分を納得させていた。しかし、海外に一歩出ると、日本の常識なんてまるっきり通用しない。日本人から見たらとんでもないめちゃくちゃなものが、そこでは普通だったり、当たり前だったりする。自分の持っていた先入観とか一般的な基準が一瞬にして吹っ飛んじゃった。でも、それって実はすごく大事なだと思う。今、経営者になって感じることは、常識にとらわれてしまうと『殻』は決して破ることができないってこと。常識から逸脱した発想、起こすアクションこそが必要だと感じるようになった。
 村橋「バックパッカーをやっていると、寝る場所が決まっていないことも多々ある。そんな時、貧しい現地の村の人たちの家に泊めてもらって、ご飯をいただいたこともあった。旅先では身分とか肩書とか一切関係ない。お互いを助け合う精神みたいなものを学んだ。あと、旅先では予期せぬ大ピンチに出くわしたりもする」
 加藤「結構あるね。そんな時は『度胸』が大切。どんなピンチでも『なんとかなる』と自分に言い聞かす。困難を乗り越えて、ミッションをクリアするごとに成長する実感はあったね。それはビジネスも一緒で、『大ピンチ』に出くわしても、ミッションクリアに向けて前向きに突き進む『度胸』は身に付いたかな。
 村橋「僕も『どんなピンチでも、冷静になって工夫すれば解決策が見つかる』って考えられるようになった。たとえ今がダメだとしても、次にいい方に帰ってくるだろうっていう前向きさも身に付いたかな。その感覚はやっぱり経験の強みかもしれない。言葉には表しにくいけど、その『感覚』は加藤さんと共有できる」

 加藤「僕らは仕事上での絡みはほとんどないけど、経営者として同じような感覚を持っているとは思う。30代半ばまではただの遊び友達だったけど、お互いに会社の経営者になって、その感覚はより強く感じるようになった。お互いの人脈を共有しているのは、そのためかもしれない」
 村橋「一緒に成長したいって思いは強くあるね。こんな機会だから言うけど、加藤さんの一言に救われたこともある。僕が社長に就任した当初、加藤さんから『そのままのやり方でいいじゃん』って言われたのを覚えているかな?ささいな一言だけど、僕にとっては大きな一言だった。『そんなに気取らなくていいや』って肩の力が抜けたというか。お互いに悩みを相談するというほど深刻な関係ではないけど、刺激を与えながら、気づいたことを言い合える関係というのは、いいよね」
 加藤「確かに。真剣に悩み相談をするとか、お互いがアドバイスするとかっていうことはないけど、酒を酌み交わしながら、たわいもない会話の中でほんのちょっとヒントをもらうとか、そんな関係かもしれないね。自分の発言はあんまり覚えてないけど(笑)」

【課題の克服と関係性の構築】
――今後の経営について

 村橋「気づけばもう52才。これまでいろいろな失敗も経験してきた。10年くらい前に始めた『農業』もそのひとつ。耕作放棄地の解消を目指して取り組んだが、鳥獣被害で全然利益が出ず、5〜6年で撤退することになった」
 加藤「その後、村橋さんが使っていた農機具を譲り受けて僕が農業に乗り出した。5年が経過して、収益ベース的にはまだ軌道に乗っているとは言えないけど、無農薬の有機農業を売りにしていて、地域の皆さんからの評価であったり、興味であったりっていうのを引くことには成功していると感じている。『なんで車屋さんが農業なの?』って話なんだけど、企業イメージとかブランドとか、そういうものを発信するツールだと位置づけている」
 村橋「当社の場合は、もともと農業土木の測量設計を主として用水路や田んぼの設計に取り組んできた。しかし過疎化が進む中で、せっかく作ったインフラが耕作放棄地になって使われなくなっていく。自分たちが作ってきたものが無駄になっていく姿を見て、『本当にこのままでいいのか』って考えた時に、耕作放棄地を解消して、農業の魅力を伝えて、農業の発展にも貢献していきたいと考えた。しかし、やり始めると、なぜそこが耕作放棄地になったのかっていう理由がだんだん分かってくる。人が住まなくなると、山と集落との境目がなくなっていき、そこが鳥獣のすみかに変わっていく。農作物を作っても、鳥獣のえさに変わるばかり。ビジネスとして耕作放棄地での農業は難しいということで断念せざるを得なかった」
 加藤「でも、ビジネスとしては成功しなくても、得たものもあったわけでしょ?」
 村橋「損失はあったけど、その時に思い描いたビジョンや理念はその後に生きている。実際に、農業土木の測量設計をする際は、自身の経験を基に、提案やアドバイスができる。撤退から5、6年経つけど、いまだに地元の人からは感謝されているし、役所から相談を受けることもあるからね。しかし今回、加藤さんが『オーガニックでいく』ってなったときは、その手があったか!とは思ったね(笑)」
 加藤「ビジネスに失敗はないと思う。たとえその時は失敗に見えても、それを糧に次につなげることができれば『あの時の経験が生きた』ってことになるから。村橋さんの失敗は僕の中で生きている(笑)。20代の遊び仲間から始まって、気づけばお互い50歳を超え、会社経営者になった。もう若手と呼べる年ではないけど、まだまだ可能性を信じて、挑戦したい気持ちはあるよね」

【人材育成と教育論】
――最近の共通の話題は?

 村橋「人材の確保と育成かな。例えば僕はレクサスの従業員を見て、スタッフの礼儀正しさ、おもてなしの心に感心する。やっぱり一流の企業ってすごいなあって。決して当社の社員が悪いってわけではないけど、何が違うのかって。やっぱり研修の成果?」 
 加藤「マナーもさることながら、人間力をテーマにした研修は頻繁にやっている。岐阜トヨペットの店舗とレクサスの店舗は採用の入口は一緒で、基本的な社員教育も両方同じ。しかし、レクサスはターゲットと接客方法が完全に別物なので、資質とか適性を見込まれてレクサスに配属された社員はプラスアルファで専門の教育を受けてもらう。当然、教育は厳しくなるけど、レクサスのスタッフはそこにプライドを持っている人が多いから前向きに取り組める」
 村橋「仕事にプライドを持つって非常に重要。僕の会社もここ数年、経営コンサルに依頼して社員教育にはかなり力を入れているけど、研修で学んだことを会社に還元できていない。自分のものだけになってしまって、時間が経てば元に戻ってしまう。結局、やりがいを伝えなければ何も変わらないと考えるようになった。だから今、力を入れているのは、社員の意識を変えること」
 加藤「個人が変わることも必要だけど、社員一人一人のやりがい、やり方を認めてあげなきゃいけない時代になったと感じる。そのためには、もっと外を見せる必要がある。教育研修もいいけど、異なる業種の、異なる価値観を見せるっていうのが刺激になる。経営者や管理職は外部と触れ合う機会がそれなりにあるけど、一般社員にそうした機会を与えることは極めて少ない。だから、セミナーや交流会、勉強会、遠方の展示会でも参加できるようなシステムを作ろうと思っている」
 村橋「同じ業界内で交流しても、ある程度までしか価値観は広がらないよね。そういうことも含めて、異業種交流はとても重要だと思う。加藤さんが『測量設計業界って仲良いよね』って言うけど、それは決して悪いことではないんだけど、さらに進歩するためには、業界外の人たちとつながることが必要だと感じる」
 加藤「自動車業界も急激な変革期を迎えていて、新しいことをどんどんやっていかないと乗り遅れてしまう危機感が常にある。そういう意味では、積極的に異業種交流っていうのをやっていて、それも経営者だけがやるのではなくて、なるべくいろんなメンバーに参加してもらって、どんどん繋がりを広げていこうと考えている」
 村橋「人のつながりが広がることで、今後のビジネス展開にヒントが出てくるかもしれないしね。だから僕も、自分が出会った他業種の経営者を部下に紹介して、交流を持つように促している。そうすることで、会社のために何ができるかを考えるようになると思うんだよね」
 加藤「それこそ旅の話じゃないけど、異なる文化、新しい価値観を見ることによって、視野とか思考の幅が広がっていく。たくさんの社員がそうなることによって、会社の新しい展開、選択肢が増えるんじゃないかって思う」

【オープンなコミュニケーションとイノベーション】
――社員の意見は聞く?

 加藤「意見をどんどん出してくれって言うけど、これまで指示通り命令通りやってきましたっていう人から、急に新しい発想が出てくるほど甘くはないよね。数年前から社内プロジェクトみたいなものを作って、ちょっとずつアイデアを出し合うことから始めた。現在では少しずつではあるけれど、声がポコポコ出てくるようにはなってきた。これを継続することで、あっちからもこっちからもどんどん意見やアイデアが湧き出てくるようになると、会社はすごい展開になるんじゃないかってわくわくしちゃう」
 村橋「若い人って実は意外と考えているんだよね。例えば、AI技術だって、実はとっくの昔から取り組んでいて、若手に聞くと、何をいまさらみたいな顔をされる。自発的に取り組んでいるのは非常に喜ばしいことだけど、それを組織全体に広げるっていう意識は低いかもしれない。これは会社の責任もあって、『言っても理解されない』『稟議を通すのが大変』『予算がない』って言われるんじゃないかって思われている。今は新しいことにどんどん投資していかなければいけない時代。だからこそ、社内の風通しをよくして、若い人たちの意見にはなるべく耳を傾けようと思っている」
 加藤「『ゆとり世代』や『さとり世代』とラベリングして、出世欲がないとか貪欲さがないとか、あんまり自己主張をしないとかいろいろ揶揄(やゆ)されるけど、深掘りすると僕たちが考えつかないような新しいアイデアを持っている場合も少なからずある。僕らが若い頃だって、当時の1〜2世代上の人たちから『いまどきの若い奴らはどうしようもねえな』って言われてきた」
 村橋「そうだよね。急に仕事辞めて旅に出るって、理解されるわけない(笑)。自分たちが理解できない価値観を『ゆとり』や『さとり』に置き換えているだけで、今の世代なりの価値観を理解するとまではいかないにしても、許容する必要はあるよね。ただし、なんでもかんでも許してしまってはいけないとも思う。やっぱり会社に属しているかぎりは、ダメなものはダメって教えることも必要。知識や技術はすごいけど、人と接するのは苦手。そういう子に対しては、10年20年経ってもそれだと困るよねって。ちょっとずつでもいいから克服していこうよって、人生の先輩として伝えていくことも必要だなと考えている」
 加藤「そうだね。ただし、昔のように頭ごなしというよりは、柔らかく伝える必要があるかも。そのためには経営者の価値観も時代に即して変わらなくてはいけない。最近になって『女性活躍』なんて言い出しているけど、はっきり言って、日本は世界から何周も遅れている。僕が海外にいた20年前だって、国によってはバリバリ働いて管理職になって活躍している女性がたくさんいた。『女性活躍って今更?』って感じ」
 村橋「働き方もそのひとつ。新型コロナウイルス以来、リモートが始まって、今後はどんな働き方でも可能性としてはありえる。今後、仕事のやり方、ビジネスの考え方、人の働き方、今までの常識では考えられなかったような方法がどんどん出てくると思う。その時に、既存の価値観に縛られることなく、より良い方法を柔軟に取り入れる必要があるね」
 加藤「われわれの業界は、お客様との接点が不可欠なので、IT系みたいに完全リモート、全部自宅でできますっていうのは難しいけど、『接客業だから無理です』と言ってしまったら、その瞬間に思考が止まってしまう。その中の一部でも、できるやり方を探していけば、全員じゃなくてもデジタル化は可能かもしれない」
 村橋「測量設計業でも、『働き方改革』が叫ばれているけど、要は工夫の仕方だと思う。効率的なアイテムやツールはいくらでもあるけど、そのアイテムやツールを利用するのは結局のところ『人』なんだってことを忘れてはいけない。経営者の仕事は、人が集まる魅力ある会社を作ること。共感する人をどれだけ集められるか、そして集まった個性をいかに成長させるかがカギになるんじゃないかな」

 加藤「お互いに悩みは尽きないけど、これからも切磋琢磨しながら、楽しく成長できたらいいよね」
 村橋「成長するためには、まだまだ勉強しなくちゃいけないことがたくさんある。これからもよろしくお願いします」

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