薄氷の第一歩A隠れ残業という経営リスク
2024/4/10
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日本建設産業職員労働組合協議会 木浪周作議長
時間外の労働時間を会社に報告しない「隠れ残業」が、ゼネコンの外勤社員の間で増えている―そんな実態が、日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)の昨年の調査で浮き彫りになった。4月以降、こうした傾向が加速すれば、企業の経営リスクになりかねない。日建協の木浪周作議長は、現場を含め会社全体の意識改革を呼び掛けている。
―時間外労働規制への対応は進んだのか。
「労働時間は減ってきているものの、申告された労働時間と実態のずれが残る会社は今も多い。同じ会社の中でも、短工期で請けざるを得なかった工事など、現場によっても差が出ている」
「それでも組合員の時間外労働は、2023年調査で前年比1割減の36・1時間になった。特に深刻な外勤も、建築・土木ともに減った。業務のアウトソーシングや内勤部署による支援など、現場が担う作業自体を減らす取り組みが進んだ」
―実際の労働時間より過小に会社に申告する例も多いと聞く。
「23年調査では、三六協定で定めた時間に抵触するというので申告を自粛する例が、22年調査よりもかなり増えていた。怖いのは、規制の適用開始によりますます忖度(そんたく)が働いてしまうことだ」
「経営層はサービス残業をリスクと認識している。労働基準監督署が立ち入ったとき、不払い分の支払いはもちろんあるが、社会的な負のインパクトが大きい。課題を適正に把握して労働時間を減らしたいというのが、経営者の本音だろう」
「社員の側でも、労働時間の目標設定があると、申告内容を調整するケースが出てくる。一定時間を超えると理由書を出させるような場合、ペナルティーのように感じてしまうこともある。経営層から、現場所長、労働者まで階層によって意識のずれがある」
―4週8閉所の取り組み推進に向け、課題は。
「民間デベロッパーの現場では、4週8閉所の現場が大きく増えたが、所定外労働時間も長くなった。休みを取るために、平日の労働時間が増えてしまった」
「受注段階で4週8閉所を条件にしている会社もある。受注時はきちんと閉所できる工程にしているが、天候や資材の納期、発注者や設計者などの事情で工程が遅れる。そこを無理に当初契約通りに納めようという実態があるのではないか。これまでの慣習にとらわれず、工期をきちんと延ばすことが重要だ」
―今後の取り組み方針を聞かせてほしい。
「4週8閉所をずっと言い続けてきたが、これからは質の向上を図る。4週6閉所に盆と正月の休みを足して年間で4週8閉所とするのではなく、月単位での達成を目指したい」
「4週8閉所とは別に、個人の休みはもっとあっていい。現場で働いている人の休日数を他産業にどれだけ近づけるかだ。『4週9休』くらいの労働環境にしないと、(就職先に)選ばれなくなる。少しでも追いつけるようにしたい」
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