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きょうの『建設業法キーワード』40

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▼「発注者の義務」とは?

 建設業法では、請負代金の額について、「不当に低い請負代金」で請負契約を締結することを禁止しています(建設業法第19条の3)。また、「不当な使用資材等の購入を強制すること」も同様に禁止しています(同法第19条の4)。

(1)請負代金の額
 建設業法第19条の3では、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した工事を施工するために必要とされる原価に満たない金額で請負契約を締結する行為を禁止しています。
例えば、注文者が「この条件での契約を呑まなければこの先の取引関係に支障が生じる可能性がある」などと示唆し、不当に低い金額で契約を結ばせようとする行為は建設業法に違反する恐れがあります。
 また、請負金額の増額に応じることなく、下請負人に追加工事を施工させた場合や、決定された請負金額を契約後に不当に減額させる場合も、これに該当すると考えられます。

(2)資材等の指定の禁止
 同法19条の4では、請負契約の締結後に自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事に使用する資材や機械器具、これらの購入先を指定し、下請負人の利益を害する行為を禁止しています。
 この規定に該当するのは、上記のような行為の結果として現実的に下請負人に損失が発生した場合です。
また、こうした行為が、契約の締結後に行われた場合に限ります。契約に至るまでの交渉の過程で、どのような「指定」が行われたとしても問題にはなりません。もちろん、元請負人がこうした「指定」を行う場合は、見積もり段階で下請負人にその内容を明示しておく必要があります。

執筆者プロフィール

全国建設関係行政書士協議会