建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

知ってお得なお金の話 第10回 金融広告 ココに注意!

いいね ツイート
0

 金融商品に限らず、商品を購入する際には「自分にあっているのか」「本当におトクなのか」を考えて購入する必要があります。そのためには「注意点」なども、きちんと把握する必要があり、購入前に、説明を聞いたり、読んだりすること(とくに小さな字)が基本中の基本といえます。
 半面、販売する側としては、お客様に購入してもらうために、さまざまな工夫を凝らしています。金融商品に関して言えば、金融庁の指導のもと、「アピールしたいところだけを大きく書くのではなく、注意点もわかりやすく書きましょう」ということになり、以前よりは「元本割れの可能性」や「注意点」もきちんと明示されるようにはなっています。
 しかしながら、広告を作成するときには、通常「アピールポイント」から記載されるのが一般的ですし、説明をする時も「アピールポイント」から話します。また、購入して欲しければ、往々にして「アピールポイント」を強調する傾向にあります。
 すると、人間の心理なのか、どうも「おトク」と思われるところばかりが頭に残る傾向にあるようです。さらに、「おトク」と思われる部分にも、解釈の仕方により、注意しなければいけない事柄が潜んでいることがあります。しかし、これらは、ほとんどの場合、巧みな広告技術や話法により隠れてしまうことが多いのです。
 それでは、具体的にどんなケースがあるのか見ていきたいと思います。
 まず基本的なところで理解してほしいのが、「元本保証」と「元本確保」の違いです。同じように思われている方も多いのですが、「元本保証」は、満期時はもちろんのこと中途で解約しても必ず「元本」は戻ってきます。これに対し、「元本確保」は満期時まで持てば、元本は保証されますが、中途で解約した場合は、元本を下回る可能性があります。一般的には、「元本確保」の方が、金利は高めの傾向にあります。
 この「元本確保」を活用した商品で「条件付元本確保型ファンド」と言う商品があります。ポイントは「条件付」と言うところですが、100%元本が確保されているわけではありません。商品ごとに条件は違うのですが、例えば、ある程度、株価が下がっても、決められた額以上(30%とか)の下落がなければ、それなりに高い分配金がもらえ、元本も確保されます。ところが大幅な下落があって、決められた額以上の下落(例えば35%とか)があれば、元本は確保されず、株価下落に応じた損失、この例だと35%の損失を被ります。そして、運用期間中に一度でも、決められた額以上に下落すると、その後株価がある程度戻っても、当初の株価に戻らない限りは損が出てしまうのです。この商品に限らず、おトクと思えるものには「条件」がついていることが多いので、「条件」は必ず読むようにしましょう。
 次に、金利の表記の仕方による錯覚に注意しましょう。金利は通常「年利(1年預けた場合)」で表示されます。100万円預けた場合、金利「12%」で、期間1年の商品であれば、利息は12万円(税引き前)となります。しかし、期間1ヶ月の商品であれば、1ヶ月は1年の12分の1ですから、実質金利は1%となり、利息も「1万円」となってしまうのです。しかし、ほとんどの購入者は単純に12%の金利が得られると思ってしまうようです。
 高金利の「円定期」は、ほとんどが短期のものですし、投資信託とセットになっているケースもありますので、注意してください。また、この手法は外貨預金の「キャンペーン金利」によく使われます。外貨預金をする場合には、為替手数料がかかりますので、為替が変動しなくても、短期の預入では、為替手数料を取られた結果、多少利息が付いた程度では、元本割れとなるケースもあるのです。
 最近人気の商品で、高金利の債券(アフリカランド債やトルコリラ債など)が発売されています。こちらは、高金利であることは事実ですが、広告の金利にばかり目を奪われて購入してしまいますと、短期のものだと、為替の変動や手数料で大きく元本割れとなることもありますので注意が必要です。
 その他にも、金利が「2倍、3倍」と聞くと、非常におトクな感じがしますが、「何の」2倍、3倍なのかということにも気を配りましょう。現状の1年定期の金利はわずか0.2%程度ですので、2倍と言っても0.4%程度です。もちろん、同条件ならば、それでも利用価値はありますが…
 「おトク」に見える商品で、ある程度の利回りが期待できるものは、一般的には「リスク」があります。ただし、「リスク」があるとしても、それが大きなリスクになるのか小さなリスクになるのかは「人」によって違います。また、同じ商品であっても、購入するタイミングによっても違ってきます。しっかりと「広告」をチェックし、自分にとっての「おトク商品」を見つけてみましょう。

安藤絵理(ファイナンシャルプランナー)
安藤絵理FP事務所 ホームページ http://www.ando-fp.jp/

執筆者プロフィール

安藤絵理(ファイナンシャルプランナー) メールアドレス info@ando-fp.jp