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建設業の戦略営業 −活動強化編−第7回 商談件数を向上させる活動

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7.商談件数を向上させる活動

(1)御用聞き営業の面談活動で終わっていないか
 前回は訪問すべきターゲット顧客を既存客と旧客、新規客の3つに分類して優先順位付けの仕方などを解説した。今回からは、いよいよ顧客へのアプローチ方法について解説していきたい。
 さて、顧客訪問活動は大きくは面談、商談の2つに分かれる(実際は客先へ訪問したはいいが、しかるべき担当者に会えずに終わる場面もあるが)。面談と商談は、面と商の漢字1字の違いであるが、実際には大きな違いがある。面談は、ただ顧客に会うだけの訪問活動であり、商談は具体的な仕事(工事案件)の話ができる訪問活動である。
 顧客に会ってお茶だけ飲んで帰ってきても「面談」であるが、これだけでは何の意味もない。成績の低い営業担当者に限っては会うことに満足して帰ってきている傾向があるようだ。「ひとまず顧客との顔つなぎや情報交換も必要ですよ」と面談だけの訪問活動の正当性を声高に主張する営業担当者が実に多い。このような面談活動を筆者は全く意味がないとまでは言わないが、実際このようなことを主張する営業担当者に限って、御用聞き営業しかできていない人が多い。
 御用聞き営業は、客先へ訪問して「何か仕事がありませんか?」と聞いて歩くだけの低レベルの営業活動のことである。自社を懇意にしてくれる既存客で、たまたま運良く仕事の話があれば面談でなく商談につながる。しかし、仕事の話がなければ、客先で出されたお茶だけ飲んで体よく断られるのである。これが、新規客ともなれば行ってただちに撃沈されて終わりである。

(2)商談活動に不可欠な仮説提案力
 顧客訪問活動は面談ではなく、商談に持っていかなくては意味がない。なぜなら建設業の営業活動は工事案件を掘り起こして受注に繋げる仕事だからである。顧客との面談の中で何らかの工事案件に繋がる話しができなければいけないのだ。
 それでは、顧客訪問活動を商談活動に繋げるには何が必要なのであろうか。それは、ズバリ仮説提案力を持って訪問できるか否かにかかっている。
 仮説提案力とは、顧客のお役立ちのために自社はどのようなお手伝い(仕事)ができるかを問うものである。なぜこの仮説提案力が重要であるかといえば、今は工事案件が無い時代であり、営業担当者の仕事は顧客に対して工事案件の必要性を訴えることに重点を置くべきであるからだ。
 営業の仕事は、よく顧客ニーズを把握することが大事と言われるが、不況期の営業活動は顧客ニーズを把握することでなく、創り出すことなのだ。つまりは「貴社にお願いするような工事の仕事はありません」と言う顧客から最終的に工事の仕事を出させることが真の営業活動となるのだ。
 仮説提案力とは事前に顧客を調べ上げ、想定される顧客ニーズを仮説設定し、その仮説にもとづき営業話法を組み立てて訪問活動を行うことである。仮説を持たずに「何か仕事がありませんか?」と御用聞きのような営業を行うのと、「御社では○○のようなことにお困りではありませんか?」というような仮説を持って訪問するのでは、その後の顧客との会話や話の展開が非常に異なってくるのである。
 では、仮説を持って客先へ訪問するためには、どのような訪問前の事前準備が必要なのだろうか。次回は仮説設定のための顧客戦略・戦術のあり方について解説する。

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執筆者プロフィール

日本コンサルタントグループ建設産業システム研究所 酒井誠一