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建設業の戦略営業 −活動強化編− 第10回 5×5の活動による建設営業の変革(1)

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(1)5×5の活動とは何か

 既存顧客の引き合いに頼った待ちの営業では受注目標を達成するために必要な工事案件数を確保することができないことから、この連載では、必要絶対量を確保するためのターゲット顧客選定や商談率を上げるための仮説設定による提案営業について述べてきた。
 では、現実の営業活動の中で一歩踏み込むための活動量はどのくらいが妥当であろうか。適正な活動量については、読者諸兄の企業規模や業種(建築、土木ほか)、商品、営業エリアの地域特性等々の与条件によってさまざまであることは重々承知の上で、 今回「5×5の活動」というものをご紹介したい。
 これは、筆者と先輩コンサルタントとの間で建設営業のコンサルティングを行ってきた経験にもとづき、建設営業担当者が新たな工事案件を発掘するための活動の目安を経験値にもとづいて編み出した法則である。

5×5の活動とは次の営業活動を指す。

@25社(5×5)の重点ターゲット顧客をリストアップする。
A1日5件以上の面談を行う
B月間で25件以上の商談を行う
C重点ターゲット顧客1社につき継続的な商談を5回以上行う
D上記@〜Cの活動を5ヶ月続けると5件の工事案件が発掘可能
となる

 以上が5×5の活動のすべてである。特段この営業としての法則を裏付ける何かがあるわけでなく、あくまでコンサルタントの経験値にもとづく法則としか言いようがない。
 これを読まれた読者諸兄の皆様がこの法則を信じるも信じないも読者諸兄に委ねるしかないが、実際に今まで筆者が指導してきた建設企業(上場ゼネコンから地場中小建設業まで)の経営者や営業部門長に、この5×5の活動を提唱して、否定されたことは一度もないのも事実である。
 特に不況期の現在は、建設企業の経営者や営業部門長だけでなく、営業担当者の中にも、こうした活動を重視することを否定する担当者はほとんどいない。
 しかし、この5×5の活動を実践できるかどうかというと、ほとんどの営業担当者が5×5の活動で求めている前述@〜Cの活動について、その難しさを痛感することとなる。

(2)5×5を実践する

 5×5の法則の最初のスタートは上記@の重点ターゲットとなる25社のリストアップから始まる。ターゲット顧客の設定の仕方は以前にこの連載で触れたので割愛するが、この段階では誰でも容易にできそうに見える。
 しかし、この25社というのがたいしたことがなさそうでいて、実はそうでない数なのである。なぜなら、この25社は5ヶ月の間に最終的に5回の商談にこぎつけていかなければならないからである。
 今後工事案件が発生しそうな有力な既存客が25社以上あれば問題ない。しかしながら、現状そこまでの有力顧客を保有している営業担当者は特に不況期の今は皆無である。となると新規客からも25社の何割かはリストアップしなければならない。新規開拓を行ったことのある営業であれば誰しも経験していることだが、新規開拓はまず顧客に会うことから始めなくてはならないし、会えたとしても冷たい断りを受けることの方が多い。
 25社リストアップ後に第2段階の1日5件の面談を行うために“会いやすい顧客”ばかりを訪問していると、すぐに面談企業は底をついて隘路(あいろ)に陥る。そればかりでなく既存客、新規客を問わず顧客アプローチに失敗したからと言って、その度にターゲット顧客を入れ替えていたのでは、1日5件の面談やその次の月25件の商談にはほど遠くなる。
 そうなると相当厳選して25件のターゲット顧客を設定し、この設定した顧客から何が何でも面談そして商談に進展させていかなければならない。
 そのためには、5×5の活動においてファーストアプローチでいかに顧客と面談し、次の商談に結び付けていくかが鍵となってくる。次回はその点について詳しく触れたい。

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執筆者プロフィール

日本コンサルタントグループ建設産業システム研究所 酒井誠一