建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

建設業の戦略営業 −活動強化編− 第11回 5×5の活動による建設営業の変革(2)

いいね ツイート
0

(1)次につながる仕掛けづくり

 前回は建設営業担当者が新たな工事案件を発掘するための活動の目安として5×5の活動をご紹介した。今回はこれにもとづきファーストアプローチ(初回訪問)でいかに顧客と面談し、次の商談に結び付けていくかについて触れてみたいと思う。
5×5の活動において1日5件の面談と月25件の商談を確保するためには、まずファーストアプローチを成功させなければならない。つまりは1回目の面談で次回再訪問につながる有効な面談ができなければならないのだ。
 営業の世界では「(顧客に)断られてから営業が始まる」という有名な言葉がある。確かに一度や二度断られたぐらいで引いていたのでは、営業として行くべき顧客が無くなってしまう(面談すらできなくなる)。そこで、次回の再訪問が可能なように、断られない工夫が必要である。
 顧客訪問にあたって仮説設定による提案営業活動の必要性については、この連載で何度か述べてきている。ファーストアプローチを成功させるためには仮説設定された顧客ニーズを顧客に認知させ検討させる仕掛けが必要である。
 この場合の顧客訪問する際の仮説は営業サイドが想定している顧客の潜在ニーズである。当然仮定であるし、面談した担当者によって反応もまちまちであるため、必ずしもヒット(良い感触)して次につながるとは限らない。そこで、ファーストアプローチで次の再訪問につながる仕掛けが必要となる。
 ファーストアプローチで次につながる仕掛けとは下記3点に留意して訪問準備を進めることである。

@仮説の裏付けとなる潜在ニーズを証明する事象
A提案する自社商品にまつわる専門知識
B顧客が興味を持ちそうな情報やデータ
 
 どのような準備が必要かと言えば、例としてビル屋上や外壁の改修工事を提案営業する場合は、@の場合、建物の外壁の状況(クラックの有無等)であるとか、建物を利用しているテナント企業の声(雨漏り等)など可能な限り仮説を裏付ける事象をそろえておく。
 Aの場合は前々回に解説したFAIBEにもとづき、提案すべき商品のメリットを単に勧めるのではなく、例えば改修工事を行わなかった際のデメリットであるとか、工事を行うに際しての工法などの選択肢が数種類あれば、それぞれの長所・短所などを顧客の要望(予算、品質等)を確認しながら相談に応じていく(コンサルティング営業)ことにより、「この営業に聞けば何でも答えてくれる」という印象を顧客に与える。
 Bの場合は顧客が関心を持ちそうな業界や担当者の担当業務にまつわる情報やデータをあらかじめ用意し、口頭もしくは書面にて情報提供できるようにしておく。この場合、必ずしも自社商品(建設工事)に通じるもの以外でもかまわないが、最終的には自社商品に繋げていかないと意味が無いので、ファーストアプローチの際に自社商品に関連した情報で興味を持ちそうなものが何であるかを探っておくことが望まれる。

(2)継続訪問で商談に結びつける
 
 上記の準備にもとづき、まずはファーストアプローチで顧客に断られずに再訪問につながるようにしていく。顧客から見て営業担当者が「付き合っていてメリットがある」と感じてもらえれば再訪問は可能である。
 このようにファーストアプローチを成功させ、再訪問ができるような関係を顧客と築ければ、徐々に深い営業活動ができるようになる。そして、訪問を重ねるにつれ顧客の顕在ニーズも潜在ニーズも探っていくことにより、必ず工事案件につながる情報が得られるはずであり、これが商談活動となる。目標として、この商談活動が月25件以上となるように計画的に訪問活動を行っていく。
 そして、これらの活動を継続的に1社あたり5回以上重ねていくことにより、具体的な工事案件に発展するのである。もちろん、この段階まで進めるためには、常に顧客に対して訪問の都度、上記3点の準備を怠らずに訪問することである。


■問い合わせ先
〒161-0033
東京都新宿区下落合三丁目16番14号 第2ニッコンビル
(株)日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
TEL03-3950-1178 FAX03-3952-043 http://www.niccon.co.jp/kensetsu/
 ご質問にはお答えできない場合もございますのでご了承ください。

執筆者プロフィール

日本コンサルタントグループ建設産業システム研究所 酒井誠一