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実践!コスト競争力アップ 第1回 社内原価とは何か

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 ここ数年、自社のコスト競争力を維持、アップしていくことは、どの企業様にとっても、優先度の高い課題になっているのではないでしょうか。その一つのポイントが、社内原価をうまく活用していくこと、ではないかと感じています。

まず、社内原価とは何かを簡単に言いますと、
『外注先や資材発注先(建材卸業者や生コン業者、砕石業者等)のNET見積金額(外注先からの最終見積金額)や発注金額を、項目ごとにデータに蓄積し、社内の基準に合わせて検証したもの』を言います。


しかし、社内原価という言葉は、意外と曲者で、会社内でも部署や人により、異なった数値を指す場合がほとんどです。そこで、まず目線を合わせることから始めます。

なぜ社内原価が、部署や人によって異なってしまうかと言うと、
@ 原価を使う用途(積算、見積、発注)で、別々に管理していること、
A 各個人が持っている原価の情報を、情報共有していないこと、
B 外注先・仕入先によって、同じ商品や工事でも、原価が異なること、
C 工事の手間や難易度・規模により、原価が異なること、
が主な原因と考えられます。

『@〜Cの問題点は、実はほとんどの場合、社内で原価を検証した上で、会社のデータとして一元管理し、情報を共有化していくことで解決してしまいます。』と言葉で言ってしまうと、簡単なようですが、一筋縄ではいきません。

まず、@、Aのように情報そのものを別々に管理しているご会社は多いと思います。そうした場合、経験が浅い現場代理人や積算担当者などは、ベテラン従業員に教えてもらったり、紙ベースとなった資料を一生懸命調べたりして、ようやく原価の情報を収集しています。ベテラン従業員では、そういった情報を自分で持っているので、不都合は感じていないかもしれませんが、実は自分が持っている情報が、社内原価つまり、正しい原価かというと、そうではないこともあるのです。

またB、Cの問題点については、外注先のNET見積金額、発注金額の検証が重要です。いずれにしても、材料費、外注費(外注先での外注費)、外注先の経費及び利益、が合算されています。その個別の金額、つまり数量や単価がそもそも適正なのかを、十分に検証しなければなりません。

以上のように、会社全体で社内原価情報の共有化をすることや見積、発注金額を細かく検証することで、生きた社内原価が作られていきます。そして、それを活用することで、積算の正確性が増し、発注時に根拠ある交渉ができ、価格の低減を図ることができるようになります。

ただし、きちんと活用できる社内原価を整備するには、様々な準備が必要になってきます。次回からは、具体例を挙げながら、それらの準備過程や具体的な活用について一緒に考えていこうと思います。

執筆者プロフィール

みどり合同経営 コンサルティング部建設業経営支援研究グループ