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身近な社会学 第11回 時間経過の感じ方

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『年齢とともに月日が経つのが早い』
こんなふうに感じている人も多いはずだ。
これは、加齢に伴って身体的代謝が低下するため心的時間がゆっくり流れるようになり
逆に、時間が経つのが早く感じるということらしい。
対照的に、子どものころは、身体的代謝の働きがよいため心的時間が早く流れるので
時間が経つのがゆっくり感じられる、というわけだ。
つまり、身体的代謝をよくすれば時間がゆっくり流れるということになる。
理由を色々調べ、もっともらしい答えに行き着いて書いてはみたものの
正直言ってよくわからない。

他にも時間経過の感じ方が違うときがある。

自分が苦手なことや気が向かないことしているときは、
恐ろしく時間が長く感じられる。
高校での昼食直前の物理の授業は長かった。
お腹はペコペコ、内容はチンプンカンプン、思い出すと恐ろしい。
それに比べ、皆で楽しくワイワイ話をしているときなどは、
悲しいくらい時間があっという間に過ぎていく。
「えっ、もうこんな時間?うっそ〜、信じられない」といった具合だ。
苦しい、つらい、心配、そして不幸なときの時間は長く
楽しい、安楽、夢中、そして幸せなときの時間は短く感じられる。
気持ちと時間の流れは大きな関わりがあることは紛れもない。

シェークスピア曰く「快楽と行動とは、時間を短く思わせる」
シラー曰く「人生は退屈すれば長く、充実すれば短い」

ワクワクした気持ちのときは
様々な印象や思いが脳の中に多くの場所を占め
空白部分が少なくなるので、時間の経過が早く感じられるそうだ。
年をとるということは、それまでの記憶が脳全体の中で多くの場所を占めている。
それまでの経験や体験で空白部分が少なくなっているため
時間経過が早く感じられるともいえる。

私は後者の説でいこうと思う。
つまり、悩みや苦しみが少なくなり、幸せな時間が増えたから
年をとると、時間が過ぎるのが早くなったと感じているのだ。

何ごとも良い理由を選んだほうがいいじゃない。
誰?
「年をとって忘れちゃっただけでしょ」なんて言っている人は。
でもそれもいい。
悩みや苦しみも忘れられるから幸せなのだから。

執筆者プロフィール

太田稔子(おおたとしこ) キャリアカウンセラー 交流分析士 各種講師 メールアドレス kerorine1205tm@yahoo.co.jp