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MBA社労士流『売手市場のハローワーク求人戦略』 〜欲しい人材が向こうから来てくれる求人票の作り方〜
第1回 人材戦略と採用戦術を5W2Hで共有する

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【はじめに】
今回から緊急企画として、地域・業種・規模、あるいは採用担当者の力量に関係なく、即効果が出る「欲しい人材が向こうから来てくれる求人票の作り方」を8回に分けて解説します。机上の空論では無い、実践プロセスから得たノウハウを体系的に整理してお伝えします。

【求人倍率から見る現状】
有効求人倍率が1.55倍(2017年10月:厚生労働省)に達する今、中小企業を中心に人手不足が深刻化しています。中でも、建築・土木・測量技術者は「5.47倍」、保安の職業が「7.94倍」、さらに建設躯体工事の職業は「9.89倍」と建設業界の人材難は突出しています。

企業倒産が低水準で推移する中にあって、2017年1-11月に「人手不足」に関連して倒産した企業数は、ほぼ前年並みの294件(前年同期299件)もあります。要因別の増減率では「後継者難型(前年同期比6.1%減)」「人件費高騰型(同33.3%減)」が減少する一方、特筆すべきは「求人難型(同88.2%増)」の激増です。産業別でも過去5年間、「人手不足」関連倒産の3割程度を占める建設業が、11月も25件中7件を占めました(東京商工リサーチ:11月「人手不足」関連倒産調査結果)。

こうした人材確保を喫緊の課題とする中小企業経営者から、当事務所には毎月数多くのご相談が寄せられます。また、建設業協会はじめ、各種業界団体からも、求人対策の講演・セミナーに呼ばれる機会が増えてきました。

「ハローワークは無料だが良い人は採れない」と大きな誤解をしている経営者のみなさん、「求人票の書き方・出し方で欲しい人財を採り続ける」ことで、事業継続と雇用確保を両立しましょう。
1.人材戦略と採用戦術を5W2Hで共有する
2.採用目的と欲しい人材を明確にする
3.いつ、どこで、いくらで募集するか
4.ハローワークインターネットサービスとは
5.我が社の求人票に辿り着くには
6.どうやって露出機会を増やすか
7.どうやって我が社を知ってもらうか
8.マーケティング型求人票で引きつける

【戦略と戦術を5W2Hで共有する】
 採用活動において、多くの中小企業が陥る間違いが、経営計画達成のために「目標予算から、何となく総人員を決め」、それに従って採用活動を続けていることです。結果、高い広告費を使いながら、ほとんど応募が無く、せっかく採用できたとしてもミスマッチが発生し、なかなか定着に結び付きません。

そこで、まずは経営者と採用担当者が、5W2Hで人材戦略と採用戦術を共有することをお勧めします。

(経営者が決める人材戦略)
 経営者は、なんのために(why:採用目的)、どんな人を(who:欲しい人材)、どうして欲しいのか(What:求人活動)を採用の現場に対して明確にする必要があります。特に、中小企業の求人票を見ると、いったい誰が欲しいのか「欲しい人材像」が明確に判るケースは実に少ないと感じます。


(採用担当者が実践する採用戦術)
 採用担当者は、募集時期(when:いつ)、使うべき広告媒体(where:どこで)、各回の予算(how much:いくら)を計画し、広告内容(how:どうやって)を自社主導で創ってください。予算交渉はするが、募集時期や広告内容を広告業者に丸投げのあなた、買手市場ならそれでも採用できたでしょうが、レッドオーシャンではいくら餌を巻いてもいい人材は喰いつきません。

次回は、具体的に「採用目的と欲しい人材を明確にする」方法をご案内します。

執筆者プロフィール

中小企業診断士事務所 みらいの経営代表(中小企業診断士・社会保険労務士・MBA) 山崎広輝

山崎広輝
中小企業診断士事務所 みらいの経営代表(中小企業診断士・社会保険労務士・MBA)
ハローワークで毎月200人採用、20年で20億円の社会保険料を適正化。経営経験、コンサルタント、20年の人事労務実務およびMBAの知見を基にした経営者目線のアドバイスは、「社労士なのに経営ができる・わかるMBA社労士」として異彩を放つ。