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建設業の働き方改革
第2回 人材戦略の構築のポイント

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 「10年後に技術者が100万人以上の不足」「高い求人倍率」「従業員の高齢化」など、建設業における人材に関する課題は、今後ますます深刻化すると言える。このような状況下でも、中小・中堅建設業において人材戦略で成功している企業は、存在する。

 成功している建設会社における人材戦略のポイントは、「育成」「活躍」「採用」という三つの側面よりバランスよく組み立てることにある。三つの側面からそれぞれポイントを以下にあげる。

 育成におけるポイントは、「学び方改革と早期戦力化」である。
自社が掲げるビジョンの実現に向け、必要なあるべき人材を明確にする。更に、いつまでに、どんなスキルを習得しなければいけないかを見える化することで早期戦力化が可能となる。

 次に活躍におけるポイントは、「仕事のシェアリング」である。
一見建設業においては、活躍=女性活躍のイメージが強く、ヘルメットをかぶって現場をパトロールするというイメージを持たれがちであるが、積算機能や原価管理など現場以外にも女性が活躍できる役割や仕事は、まだまだある。人材活躍という意味では、女性に加え、外国人労働者の活躍も視野に入れなければならない。

 最後に、採用におけるポイントは、「理念共感型採用」にある。
最近の新卒者が会社を選ぶ上で重要視しているポイントは、「自社の社会的な価値」「自社の成長戦略」「自分自身が会社に入社しどう成長することができるか?」の3点にある。また、企業としての原点である企業理念を、採用段階から理解してもらうことは、自社の特徴(原点)を理解することに繋がり、これは入社後の離職防止にも結び付く。

 成長戦略を実行のためには、組織戦略の構築が必要であり、人が集まる会社をつくらなければならない。そのめには、人材戦略の構築は必須と言える。

 組織は戦略に従い、その組織は人で構成される。

 次回から、各回のテーマを設定し、「育成」「活躍」「採用」について、更に詳細を落し込み提言をお伝えする。

執筆者プロフィール

株式会社タナベ経営 大阪本部副本部長 竹内建一郎

竹内建一郎
株式会社タナベ経営 大阪本部副本部長
同志社大学 工学部 卒業後、大手メーカーに入社。大手メーカーでは、設計・開発業務を中心とする商品開発に携わり、数々商品を市場に送り出す。その後、株式会社タナベ経営に入社。タナベ経営入社後は、企業再建から成長戦略策定まで、100社以上のコンサルティングに携わり、企業の成長発展に向け多くの実績を挙げている。また、2015年9月より建設ソリューション成長戦略研究会を立ち上げ、建設ソリューション研究会総リーダーとしても活躍している。著書:建設業が勝ち残るビジネスモデル改革