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建設業での外国人材受入れを成功させる!
第5回 外国人受入れ後に発生する建設業特有のトラブル@

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 意外に思われるかもしれませんが、建設業界で外国人を活用するにあたって、業務上、外国人であるが故に発生する問題はそれほど多くありません。

 日本語が堪能でないことによる認識の違いや業務の遅れ・ミスといったことが発生する可能性はあるものの、業務に慣れればそれも解消されていきます。
 また、日本語能力や日本の文化理解に起因したトラブルの多くは、誤解から生じているように思えます。背景や理由をいずれかが十分に理解できていない状態だと、言った・言わない、そのようなつもりで指示した/動いたわけではない、といった形で、特に安全管理面におけるトラブルに発展します。指示を受ける外国人の側も理解できるまで聞くことが必要ですが、指示する日本人の側も相手が理解できているかを確認することが重要です。

 忙しい現場だと、指示するだけ指示し、何かが起こってしまった後に「自分は確実に指示をした」と言うことがあり、指示を受ける側の理解度の確認を怠っていることがあります。このような場合はたいてい、外国人の側からは「聞き返すことができない雰囲気だった」「聞き返すと怒られた/睨まれた」といった意見が出ます。

 日頃から、外国人が確認をしやすい雰囲気を醸成したり、どんなに切羽詰まっている状況でもわかるまで聞き返すこと(指示する側は理解できているか確認すること)を社内で徹底しているか否かで、安全管理面でのリスクヘッジをおこなうことができます。

 そのため、外国人を受け入れる前に、自社が雇用/契約をしている現場作業者に対して、外国人との接し方・指示の仕方についての勉強会をおこなっている会社が増えています。外国人が育ってきた文化の背景を理解すると、「日本人に対するよりもこの部分は強く言わなければいけない」などのポイントがわかります。
 
 業務以外の部分で起こる外国人特有のトラブルと言えば、現場入場が挙げられます。建設現場への入場申請の際には、現場に入場できる在留資格か否かの確認だけでなく、日本語での面談を実施し、安全についての知識や最低限の日本語能力があると認められないと許可されない必要な場合があります。そもそも外国人の入場が許可されない現場もあるようです。

 基本的には外国人という理由で現場入場を禁じることはできず、現場入場可能な正規の在留資格であれば現場入場できるのですが、各現場の所長の裁量などで、現場入場の要件が異なる/入場が断られる場合があります。外国人を受け入れる際には、現場ごとに事前に確認をし、ある程度承諾を得ておかなければ、いざ受け入れた後に現場入場できなくなってしまうので注意が必要です。
 
 次回は、労務管理面、生活面で起こりうるトラブルについて説明をさせていただきたいと思います。

執筆者プロフィール

株式会社ワールディング 代表取締役 谷口正俊

谷口正俊
株式会社ワールディング 代表取締役
1973年イタリア・ローマ生まれ。早稲田大学商学部卒業後、(株)ベネッセコーポレーション入社。同社退社後、2000年7月「教育を通じてより良い世の中へ」と、教育関連企業(株)ウィル・シードを共同創業、代表取締役副社長就任。大手企業400社の人財育成支援及び、全国の小中学校に新しいタイプの体感型教育プログラムを提供。同社副社長を退任後、2006年6月、(株)アクティブリッジの設立に参加。7年に亘るベトナム事業展開の後、2013年3月、(株)ワールディングを設立。日系企業のベトナム進出支援、ベトナム人材採用・育成事業を展開中。日本とベトナムを往復する日々を送っている。