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「お金のブロックパズル」で生産性向上!
第2回 自社のお金のブロックパズルを書いてみよう!

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 今回は、会社のお金の流れの見える化に役立つ「お金のブロックパズル」を、一緒に描いていきましょう。

 まず、縦長の長方形を描きます。これを年間の【売上高】とします。数字がある方がわかりやすいと思うので、100とします(図1)。

 次に、この売上高を2つに分解します。1つは【変動費】、もう1つは【粗利】です(図2)。
 この変動費という言葉、決算書のどこを見ても出てきません。変動費とは、売上に直接連動して増えたり減ったりする費用のことです。ここでは70とします。業態にもよりますが、建設業では一般的には材料費・外注費が変動費に当たります。売上高から変動費を引いたものが【粗利】です。

 100引く70なので、粗利は30です。粗利は、実質的に会社に入ってくるお金なので、売上以上に重要な数値です。ちなみに、売上高に対する粗利の割合を、【粗利率】といい、ここでは30%になります(図3)。この粗利率が高いほど、会社の実質的な実入りが大きいと言えます。

 続けて【粗利】を2つに分解します。【固定費】27と【利益】3です(図4)。
 固定費は、前述した変動費以外のすべての費用です。どんなものがあるでしょうか? 例えば、家賃、水道光熱費、保険料などが挙げられます。そして、この固定費のうち、その半分程度を占めているのが【人件費】15です(図5)。
 社長のお給料(生活費)もきちんとここに含めてください。中小企業の場合、オーナー兼社長という会社がほとんどですが、会社の利益と社長のお給料は分けて考えることが重要です。

 そして、最後に、粗利から固定費を引いたものが【利益】となります。本当はこの後に【税金】なども出ていきますが、今回はわかりやすさを重視するべく、あえて省略しました。

 さて、ここでお伝えをしたいのが、売上を上げようとして安易な値引きをしてしまうことの怖さです。
 例えば、今、図のとおり100円で売っている商品を5円値引きして95円で販売したとします。これは単純な値引きなので変動費は変わらず70円のままです。その分粗利が減って25円になります。固定費は当然そのままなので、利益がなんとマイナス2円、つまりは赤字になってしまいます!
 たった5%の安易な値引きが、赤字を生み出してしまうのです。逆に、社長が5%値上げする努力をしたらどうでしょうか。売上が105円になり、それ以外の項目がそのままであれば、利益は8円になります。同じ商品を売って、利益が2.5倍以上に増えるのです。
 ついついやりがちな値引きと、なかなかできない値上げ。決算書の数字はこうした日々の積み重ねです。

執筆者プロフィール

行政書士法人Co−Labo代表 建設関係許認可を専門とするガテン系行政書士/建設業成長パートナー 小林 裕門(こばやし ひろと)

小林 裕門(こばやし ひろと)
行政書士法人Co−Labo代表 建設関係許認可を専門とするガテン系行政書士/建設業成長パートナー
都内の行政書士事務所勤務を経て、2007年、26歳のときに独立開業。 建設関係の許認可手続きを専門とし、公共工事受注コンサルティングも展開。 人あたりの良さと軽快なフットワークから、お客様の良き相談相手となっており、 年間の関与先は500を超え、建設不動産業界に精通した若手行政書士の1人として定評がある。同業者からの信頼も厚く、09年、史上最年少で東京都行政書士会建設宅建部員に就任し、現在5期目。事務所開設丸2年での就任は極めて異例と評される。『建設業者さんに「安心」と「安全」を提供し、120%現場に集中できる環境づくり』をミッションとしている。