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建設業での外国人材受入れを成功させる!
第7回 外国人受入れに成功している会社の特徴

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 今回は、外国人受入れに成功している会社の特徴を説明させていただきます。

 よく、日本人は外国人とのコミュニケーションが苦手と言われています。確かにそのとおりで、異文化で生まれ育った方との意思疎通・指示命令は難しく、「日本人と外国人を分け隔てなく扱う」として「日本ではこれが常識」「普通はこれが当たり前」というように日本特有のルールを押しつけがちです。また、逆に「せっかく日本に来たのだから」と言って、必要以上な生活備品等を揃え、至れり尽くせりの待遇で出迎える会社もいらっしゃいます。

 これらはいずれも、外国人受入れが失敗に終わる場合が多くように見受けられます。外国人の育った文化背景を理解しようとしない前者は言わずもがなですが、一見成功しそうに思われがちな後者が失敗に帰結するのは、プライベートへの介入と、愛情の反動が原因です。厚待遇の会社は、得てして仕事のみならずプライベートへの介入もおこないがちです。
 
 バーベキューや誕生パーティー、季節行事など、イベントを開催は全く問題なく、むしろおこなったほうが良いのですが、毎日/毎週、社長や役員自らが宿舎を訪れ私生活をチェックするようになると、大概の場合、外国人側としては重荷に感じてしまいます。また、外国人からの相談が過剰にエスカレートした際や近所からのクレームや喧嘩などがあった際に、「こんなに良くしてあげているのに」と、外国人に対していきなりマイナスの感情に急降下することがあります。これは外国人への愛情が深い会社に起こりがちです。

 失敗の事例を先に述べましたが、上記を踏まえると、以下のようなことが社内で周知徹底できている会社が、外国人受入れに成功している確率が高いと言えます。

・外国人の文化背景を理解した上で、ルールを定める(ある程度の譲歩をする)。
・日本人の側から積極的にコミュニケーションをとる(イベント等をおこなうことでコミュニケーションを取りやすくする)。
・一定の距離感を保つ(プライベートは尊重する)。
・何かを相談されたとしても、安請け合いはせず是々非々で判断する。
・トラブルは起こるものだと考え、できるだけリスクを見越して予防に努める。

加えて、
・改善・徹底させたいことは常に皆が指摘し続ける。
・伝達・指示することがゴールではなく、納得・理解してもらうことが重要。

といった考え方を社員全員が持つことも必要ですが、これらの点については、日本人従業員に対しても同様かと思われます。

 最近では、入社2〜3年で部下をもって指導し始めたり、安全大会で表彰を受けるなどといった外国人も増えてきています。そのような方々が共通して言うのは「会社は家族です」という言葉です。外国人は会社に帰属意識を持たないと思われがちですが、決してそうではありません。会社側の意識次第で、会社を大事に思っていただける外国人を育成することは可能だと考えます。

執筆者プロフィール

株式会社ワールディング 代表取締役 谷口正俊

谷口正俊
株式会社ワールディング 代表取締役
1973年イタリア・ローマ生まれ。早稲田大学商学部卒業後、(株)ベネッセコーポレーション入社。同社退社後、2000年7月「教育を通じてより良い世の中へ」と、教育関連企業(株)ウィル・シードを共同創業、代表取締役副社長就任。大手企業400社の人財育成支援及び、全国の小中学校に新しいタイプの体感型教育プログラムを提供。同社副社長を退任後、2006年6月、(株)アクティブリッジの設立に参加。7年に亘るベトナム事業展開の後、2013年3月、(株)ワールディングを設立。日系企業のベトナム進出支援、ベトナム人材採用・育成事業を展開中。日本とベトナムを往復する日々を送っている。