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何を生み出すのか 建設キャリアアップシステム
第2回 技能レベルを4段階で評価

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 建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録した技能者には、それぞれの技能レベルに応じた4色の建設キャリアアップカードが配布される。その技能レベルを評価するために構築されているのが「建設技能者の能力評価制度」だ。

 技能の最高位レベル4には、就業日数に関わらず、登録基幹技能者や建設マスターなどの有資格者であれば認定される。有資格者にはCCUS登録時にゴールドカードが配布され、その他の全ての技能者には、本来レベル1(初級技能者)向けのホワイトカードが配布されることとされており、国土交通省は、残り2色(レベル2・3)のカードを建設技能者の能力評価制度の本格運用を待って流通させる考えだ。

 建設キャリアアップカードを取得するためには、CCUSの登録時、技能者が保有資格、技能講習などの受講、表彰の受賞履歴などの証明書を提出し、自身が持つ技能やマネジメントスキルを客観的に証明することが求められる。現場に入る際にはカードをカードリーダーにかざし、自身の就業履歴を客観データとして蓄積する。カードは、あくまでも自身の建設技能者としての「キャリア」を第三者に証明するために不可欠なものだ。

 建設技能者の能力を4段階で『レベル分け』するには、各レベルの技能者に求める資格と就業日数を定めた「能力評価基準」が必要になる。今年3月に国交省が定めた能力評価制度の告示とガイドラインに従い、専門工事業団体は職種別の能力評価基準をまとめ、国土交通大臣の認定を受けて初めて、技能者の能力が4段階で評価されるようになる。

 基準に沿って能力評価を行うのも専門工事業団体の役割。能力評価基準の認定を受けた専門工事業団体は「能力評価実施団体」に指定され、評価事務を行う。能力評価を希望する技能者は、専門工事業団体に手数料を支払い、能力評価とカード交付を申請する。

 各団体の評価事務の負担を軽減するため、国交省は評価事務の一部を自動化する「レベル判定システム(仮称)」を開発しており、2020年度に稼働させる。

 能力評価では、CCUS登録前の就業日数も評価対象になる。技能者の所属事業者が経歴証明を提出すれば、技能者が初めて資格を取得した年月日などを起算点として、システム登録前の就業日数を評価する。

 保有資格・就業日数の双方が基準を満たしていることがレベル認定の条件であるため、CCUS登録前の就業日数を評価しないと、入職後間もない技能者とベテランの技能者が同じレベル1の評価を受けてしまうことになりかねない。そこで国交省は、24年3月までの経過措置としてCCUS登録前の就業日数も評価し、現場で活躍するベテランの技能者が適正な評価を得られるようにする。

 国交省は、レベル4の能力評価ができる登録基幹技能者講習を実施している35職種について、19年度末までに能力評価基準を整備し、20年度から能力評価制度を運用するよう求めている。先行して基準の検討を進めてきた鉄筋・とび・型枠・機械土工の4職種では、9月中にも、国交省に能力評価基準の認定を申請する見通しだ。

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