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「中小建設業の事業再生の考え方・進め方」第4回 事業再生の中身1

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さて、4回目、はじめます。
前回まで、ちょっとした言葉のあそびで、「事業再生」の世界のイメージをなんとなくお伝えしてきましたが、今回からしばらくは、その内容について触れていくことにします。

今回は、「事業再生」と呼ばれるものの中で、なにが行われているかを概観します。
まず、大きく分類しますと、前回もちょっとふれましたが、「バランスシートの改善」と「事業性の改善」に分けられます。
前者はようするに「決算書の見栄え」をよくすることで、後者は「商売そのものの力」を高めることと言い換えられます。

もちろん、商売の力が高い→収益力が高い→「決算書も良くなる」という流れがありますので、単純に切り分けられるものでなく、相互のバランスをいかに最適化するか、ということになるので、その部分も重要な「勘所」となるわけですが、実務的にはとりあえず2つを分けて進めていくことが一般的です。

ちなみに「決算書の見栄えを良くする」というと、なにやらきな臭い、脱法的なことを想像してしまうかも知れませんが、そうではなくて、たとえば、総資産を圧縮するために遊休不動産を売却して、その分の借入金を削減するとか、場合によっては、金融機関との協議に基づき、借入金を事実上免除してもらうとか、といったことで、「貸借対照表」のバランスをよくする、ということになります。

この「バランスシートの改善」は、極めてテクニカルな手続きで、まるで手品のごとく、財務上の指標が「健全な会社」の指標となるように進めていくので、イメージ的には「高度な外科手術」のような感じです。

一方、「事業性の改善」はどちらかというと地味で、長きにわたり治療を続ける、「漢方療法」みたいなイメージとなります。
たとえば、固定費を圧縮するために、人事制度を変えてみたり、人員削減をしたりに始まり、製造業なんかの場合は、生産現場のライン配置を変えて生産性を上げたり、といった具合です。

建設業であれば、赤字工事をとらないための選別受注や、工事利益を上げるための予算管理の強化だとかをご想像頂けば、いかにそれが根気のいる大変なことかはご理解いただけることでしょう。

続きは次回で!

大熊康丈(行政書士/中小企業診断士)
http://www.admin.vc

執筆者プロフィール

中小企業診断士 大熊康丈