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きょうの『建設業法キーワード』I

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▼元請負人の義務

建設業法では、元請負人に対して、下請契約に関する際の義務を定めています。これらは下請負人がさらに孫請業者などに再下請けする場合も同じです。国土交通省が平成19年に策定した「建設業法令遵守ガイドライン」などにも、その具体例が示されています。
(1)下請業者の意見聴取
元請負人は請負った建設工事の施工に必要な工程や作業方法などを定めるときは、あらかじめ下請負人の意見をきかなければなりません。工事を安全に遂行するためにも必要なことです。
(2)下請代金の支払い
 元請負人は、請負代金の出来形部分でも完成後の支払いであっても、支払いを受けた日から1カ月以内のできる限り短い期間内に下請代金を支払わなければなりません。また、前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入や労働者の募集などの、工事の着手に必要な費用を支払うよう適切に配慮しなければなりません。
(3)完成検査、引渡し
 元請負人は、下請負人から工事完成通知を受けた日から20日以内のできる限り短い期間内に確認検査を完了し、その後に下請負人が申し出たら、(特約が無ければ)直ちに目的物の引渡しを受けなければなりません。
(4)不当に低い請負代金
 自己の取引上の地位を不当に利用し、不当に低い請負代金や不当な使用材料などの購入を強制をしてはなりません。建設業法令遵守ガイドラインでは、元請負人が下請負人を指名したり選択できることを背景に、追加工事などが発生しているにもかかわらず、合理的な理由もなく追加・変更契約を行わなかったり、元請負人側が一方的に工事価格を決定(指値発注)し契約することは、建設業法違反になるとしています。
(5)不当な下請代金の減額、不当な使用資材などの購入強制の禁止
元請負人が、契約後に代金を一方的に減額したり、根拠が不明瞭な費用を差し引くこと(いわゆる赤伝処理)、さらに下請契約締結後に資材などの商品名や販売会社を指定し購入させることは禁止されています。
これらは建設業許可業者であれば、元請業者でも下請業者でも対象となります。また、以上のようなケースは独占禁止法違反となることもあります。
 なお、特定建設業者には、下請代金や下請指導に関する、より厳しい義務が求められています。

執筆者プロフィール

全国建設関係行政書士協議会