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▼「請負契約の片務性」とは?

契約行為をその債務(義務)の在り方について分類すると、「双務契約」と「片務契約」に区別できます。契約の当事者双方が対価的な債務(義務)を負担し合う契約を「双務契約」といい、そうでない契約を「片務契約」といいます。
民法には、典型的な契約の種類が定められており、そのうち「売買」「交換」「賃貸借」「請負」などは「双務契約」と考えられています。一方で「贈与」「消費貸借」「使用貸借」などは、義務(債務)が一方的であることから「片務契約」に当たります。
建設工事の場合は、その大部分が請負契約に基づいています。請負契約は、民法に規定されている通り、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことをもって、その効力が生ずる」という「双務契約」の一種です。
ところが、建設工事に関する請負契約の実態は、取引関係での有利な立場を利用し、注文者に有利な契約をされることが多く、請負者側にとっては不利な「片務性」という負の部分を引きずったままであるといえます。

「片務的な契約」の具体的な例としては、
@ 注文者側からの代金支払いの時期や方法が不明確
A 注文者側からの一方的な工事中止や設計変更などについて、請負側が損害賠償を請求できない
B 注文者側が資材の購入先や価格などを請負側に指示する
C 天災などの不可抗力による損害などについて請負側が負担させられる
―などがあります。

戦後制定された建設業法には、こうした封建的な片務性を克服することで、不当に過大な義務を負わされたり、当然の権利すら主張することができない建設業者の地位を救済するという大きな目的も課せられています。

執筆者プロフィール

全国建設関係行政書士協議会