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▼「請負契約の適正化」とは?

 請負契約の適正化は、建設業の健全な発達にとって避けることのできない問題です。建設業法第1条に「建設工事の請負契約の適性化等を図る」ことがうたわれています。また、同法第18条には、「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従ってこれを誠実に履行しなければならない」と規定しています。
 建設業法第18条は訓示的な規定であり、この条文に違反したからといって、すぐにその契約が無効になるわけではありません。しかし、条文として「契約の履行」が「請負契約の当事者」双方の義務であること、すなわち発注者(注文者)もまた契約の当事者として、この契約の履行に義務があることを明示したことには大きな意味があります。

 請負契約の締結にとって大切な基本原則は以下の通りです。
@双方が対等な立場で合意すべきこと
Aその内容において公正であるべきこと
B信義に従って誠実に履行すべきこと

 こうした観点から、元請負人側が一方的に請負代金を決定する、いわゆる「指値(さしね)発注」や、元請負人が下請負人の合意なく工事施工で発生したさまざまな経費(例えば、産業廃棄物の処理費用、元請側の販売促進費用などその内容が不明確な協力費に該当する費用)を差し引く、いわゆる「赤伝処理」などは、適正な契約とはいえず、むしろ建設業法に違反している恐れが大きいものです。

 もちろん請負契約の適性化は、入札制度の適性化とも重要な関連があります。このため、特に平成5年ごろから「入札・契約制度の適性化」に向けた布石が次々と打たれてきました。
 関連する主な法律には、「入札契約適正化法」(2001年4月施行)、「官製談合防止法」(2003年1月施行)、「公共工事品確法」(2005年4月施行)が挙げられます。このほかにも独占禁止法の改正や、会計法予決令や地方自治法の改正なども行われてきました。こうした新法の制定、法改正などを通じ、請負契約の「透明性」や「競争性」がさらに高まることが期待されています。

執筆者プロフィール

全国建設関係行政書士協議会