建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

電子納品から始める建設IT 第8回 情報の活用とデータ作成時の留意点(情報化による効率化)

いいね ツイート
0

 今回は、データ作成について考えてみたいと思います。
データ作成に必要なのは、単に紙をデータ化するのではなく、その後の情報の活用を考慮して作成するという意識です。
データに関しては今までも何回か述べてきたように、検索や情報管理ができなければ、利活用することができないので、データによる業務の効率化を図れなくなることは分かっていただけたかと思います。
 
 最近、私はある人から、「CADの導入を検討しているのですが、何かお勧めのソフトはありますか」という相談を受けました。その方は、汎用性のあるCADを導入するべきか、最近は電子納品の時代だし電子納品に対応しているものが良いのか、を迷っておられるようでした。
 そこで私は、「新たにCADを導入して、どのような部分の業務の効率化を図りたいと思っているかを考えて決めるのが良い」ことを伝えました。
 
 私がなぜ、汎用CADでもなく、電子納品でもなく、そのような答え方をしたかというと、最近のCADの進化は目覚しく、製図に強力な武器となる機能が搭載され、本来の意味でのCAD(Computer Added Design)という製図を補助するコンピュータが次々と登場しているため、製図目的ではなく、業務効率化のためのツールとなり得るからです。
 
 確かに電子納品は煩雑で、対応しているCADであれば助かるところがあります。しかし、本来の電子納品とは、目的ではなく、データ統一化の手段であり、その部分だけを目的としていては本来の製図作業の効率化にはならないと思います。
私は、セミナーなどでこう公言しています。「ここ最近まで、CADの利用価値は、紙図面をデータにすることによって、図の複写や図面の送付をメールでできること(効率化できること)などと考えられていました。しかし現在では、データをメールで送ることは、当たり前のことですし、こういったCADの利用は効率化には該当しません」。
 昔、OA化というキーワードが流行った頃、手書きをしていた(数値などが含まれる)表をワープロによって綺麗に作成するだけで最先端だったものも、今では、数値などが含まれる表を作成するのに、EXCELで自動計算するのは当たり前になっています。
CADも同様に、汎用CADだけを利用してデータの効率化を図っているとは皆さんも思ってはいないことでしょう。
 本当に効率化を図れる部分とは、数値を入力しただけで作図するような機能(以前は専用ソフトしか出来ないものでした)であり、現在はCADにそういった機能が搭載されています。また、国交省の新しいアクションプログラムなどでも再度実施項目として挙げられている「図面データから数値や情報を取得する機能」が今後の主流となり、すでにこのような機能も搭載されたCADも出現しています。
 このようなCADを利用してこそ、本来の製図の業務が効率化されると私は考えています。
ぜひ皆さんも自分たちの業務に合ったCADを探してみてはいかがでしょうか。
 実は、データに含まれる情報を効率良く利活用するために一番必要なことは、「最新の業界の「情報」をいち早く探し、適応していく」ことです。これが情報を利活用する第一歩なのです。

みんなで作る電子納品に安心して対応できるサイト
「みんなの電子納品」http://m-cals.jp
(管理者 株式会社デバイスワークス 加賀屋太郎)

執筆者プロフィール

デバイスワークス 加賀屋太郎