無から有を生む
2013/12/13
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―人材教育が欠かせない。日測協は地理空間情報セミナーや測量技術講習会など、実に多様な教育メニューを提供している。
「地理空間情報はオーケストラのようなもの。指揮者だけが数多くいても音楽にはならない。打楽器、弦楽器、管楽器それぞれプロの演奏家がいて、それらをまとめる指揮者がいて、初めて一つの音楽になる」
「『地理空間情報専門技術者』は、オーケストラでいえば演奏家になる訳だが、有資格者は5000人に迫ろうとしている。基準点測量、航空測量、GISもある。道路・河川・用地といった応用測量もあれば、環境・防災調査もある。われわれは、スペシャルな人を1級・2級の2階級に分けて作り上げようとしている」
「タクトを振る人としては『空間情報総括監理技術者』の養成にも取り組んでいる。2013年10月末現在で約200人を超える有資格者がいる。専門技術者と総括監理技術者がそれぞれ異なる役割を担い合ってこそ、地理空間情報というオーケストラを構成できる」
―奏でる音楽の質も大切だ。
「オーケストラの音楽の質、音色を良くしていこうとすれば、単なる技術者教育だけではなくスキル教育も必要になってくる。オーケストラに欠くことのできない人材になってもらうために、われわれは文章力・プレゼンテーション力・管理能力などのスキル向上へのコミットも始めている」
―「オーケストラ」は何を目指すのだろう。
「データ提供型コンサルタント(という業務領域を担うこと)もあり得る。プランニングしていくという従前の建設コンサルとは異なる、情報コンサルというべき展開もできるはず。彼らとバッティングする訳ではないし、むしろコラボレーションすることが可能だ。われわれには素材であるデータを直接、民間事業者などに提供していくというパスもある」
「測量の実働がなければ素材であるデータは取れないし、『せっかく苦労して取ったデータなのだから、付加価値を付けようや』という人たちの存在も必要だ。両者がタッグを組み、測量に携わる人たちの総力として地理空間情報コンサルという業務分野が確立できればいい。正確に測ることができる。無から有を生み出すことができる―。このことが、絶対的な強みだということを測量の世界に生きるわれわれは忘れるべきではない」
<プロフィール>
長崎大学大学院海洋生産科学研究科修了、博士号(工学)取得。九州大学でも芸術工学の博士号を取得した。1973年国際航業入社。空中写真判読とリモートセンシング技術を利用した調査・研究などを幅広く担当し、同社フェロー役員として空間情報技術を活用した環境評価に関する研究開発も実施した。07年4月日本測量協会専務理事に就任。この間、東京大学生産技術研究所客員教授(02〜04年)、東京農工大学農学部非常勤講師(92年〜08年)も務めた。技術士、測量士、そして、高度な知識や実務経験などが求められる空間情報総括監理技術者資格第1号の有資格者でもある。
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