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まず隗より始めよ

2014/1/6 

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2014年が明けた。建設産業界は、自社の経営の持続可能性を高めることはもちろん、この国の建設ものづくり、ひいては建設産業そのものの持続可能性を高めるために、「若い力」を獲得し、育むという、最大の懸案に真正面から向かい合い、確実に成果を挙げる1年にしなければならない。
 幸い、安倍内閣が繰り出す経済政策に市場が好感。東京株式市場の日経平均は1年の間に56%上昇し、7年ぶりに1万6000円台を回復した。まだまだ少数とはいえ、すでにリーマンショック前の水準にまで業績が回復した企業も出始めているほど、日本経済は回復基調にある。
 特に公共投資への依存度が高い地方の建設業経営者にとってみても、国土強靭(きょうじん)化基本法と南海トラフ地震特別措置法、首都直下地震対策特別措置法の制定、道路法改正をはじめとした社会資本の老朽化対策の推進など、インフラの重要性を認識したいまの内閣の取り組みは好ましいものに違いない。だが、こうした政治・経済状況は建設業の技術者・技能者不足をますます顕在化させるという皮肉な状況を生んでいる。
 20年の東京五輪開催は、景気回復の歩みを確かなものにするとの期待がある一方で、技術者・技能者不足の深刻化や資機材の高騰、東日本大震災からの復興の遅れを招くとの心配の声も聞かれる。
 このような状況を生んだ原因は、言うまでもなく復興でも、五輪でもない。ただただ、20年近くもの間、建設業への技術者・技能者の入職が激減し、一方で業から離職する人が増加し続けてきたからに他ならない。こうした、建設ものづくりの担い手不足こそが、「失われた20年」が生み出した最大の負の遺産だと言ってもいいだろう。
 特に「若い力」の不足は危機的な状況だ。
 1995年当時、建設業で働いていた30歳未満の人は140・7万人。それが2010年までの15年間に48・4万人にまで激減してしまっている。全ての建設業就業者数に占める割合も21・2%から10・8%にまで減少し、建設業の高齢化が急速に進行している。このままではこの国の建設ものづくり技術・技能を、次代に伝承できなくなってしまう。このことは、建設業界、特に専門工事業界がこの10年近く繰り返し警鐘を鳴らしてきたことのはずだ。
 各地で相次ぐ不調・不落も相まって、若者の確保・育成が成るか否かが、まさに建設産業全体の死活問題だという危機感を、業界だけでなく行政もようやく共有するようになってきた。今が、今こそが建設ものづくりの屋台骨を立て直す最後のチャンスだ。
 建設産業の人材確保・育成の在り方を検討していた建設業振興基金は13年12月、若年者の確保、定着には「学校における職業教育の段階から、就職後のキャリア形成の各段階を通じた教育訓練体系の構築が必要」などとする提言をまとめた。
 これまでともすれば、建設業が求める戦力として有資格や賃金などの処遇にばかり目が向き、肝心の若者の生活感や職業観を知る努力を怠ってきた感のあるこの種の提言とは異なり、建設業が若者一人一人としっかり向き合い、彼らの人生に対する責任をしっかり受け止める意志を示した提言になっている。
 その象徴が「キャリア形成」というキーワードだ。
 思い出してほしい。私たち社会人の多くがそうであったように、若者も働く中での「使命感」や「喜び」を欲している。やりがいや生きがい、自分自身の存在を認めてもらえる場を求めている。
 「先従隗始」(まず隗より始めよ)という言葉がある。
 インターンシップは、学生が職場での自分の役割や使命を実感できる極めて有効なツールだ。建設業は学生の受け入れに努力すべきだし、学校は建設業のことを知り、学生を建設業に送り出してほしい。国は、建設業と学校を人と資金の両面から力強く支援してほしい。
 かつて、今ほど建設業と国、学校が連携して「若い力」を確保し、育むための仕組みづくりの必要性を認識したことがあったろうか。建設業が「若い力」を得て、育んでいくための連携のスキームが整うのを待っている時間はない。建設業・学校・国の三者は「それぞれにしかできないこと」「だからこそできること」から始めようではないか。

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