地方の活性化が日本の再生に
2014/12/15
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昨日投開票された衆院選挙では、自民党と公明党による連立政権が信任された格好となった。結果の分析はともかく、国民は2年間の安倍政権に一定の評価を与え、継続を選んだということだろう。新しい政権には「この道しかない」と解散・総選挙に打って出た経過を踏まえ、退路を断って国民の付託に応える責任がある。今回の選挙では、中小企業や地方が実感できるきめ細やかな経済政策が打ち出せるかどうかが争点の一つになった。これからが正念場であり、政権の覚悟が問われることになりそうだ。
8月に発生した広島市での土砂災害をはじめ、台風や異常気象による自然災害は激甚化している。この状況から、防災・減災、インフラの老朽化、建築物の耐震化などへの対策は焦眉の急だ。改正土砂災害防止法が成立したとはいえ、避難場所や経路に危険な箇所がないか、リダンダンシー(代替性)が確保されているか、ミッシンングリンク(非連続性)が放置されていないかなど、総点検を急ぎ災害対策の実効性を高めることが必要だ。
「2040年に市区町村の半数近くが消滅する可能性がある」との調査結果が公表され、全国に衝撃が走った。事の深刻さが明らかになる中、11月には地方創生関連法案が成立した。少子高齢化、人口減少、東京圏一極集中の流れに歯止めを掛け、どう是正するのか、危機感を募らせる地方の自治体や経済界の関心は極めて高い。
2月に閣議決定された改正都市再生特別措置法では、多極ネットワーク型のコンパクトシティ形成に向けた法律の改正が行われた。拡散した都市機能を中心市街地に集約し連携させることで、まち機能の高効率化を実現しようというものだ。それには公共交通網の再構築、老朽化したインフラや建築物の長寿命化など、まちそのものの構造を転換することが求められることになるだろう。
このような状況を考えると、地域建設企業が果たす役割は決して少なくない。ローカル経済圏を支える基幹産業と言われて久しい地域建設企業も胸突き八丁に差し掛かっている。改正公共工事品質確保促進法の成立に伴い、インフラの品質とともに中長期的な担い手の確保が待ったなしだ。まちの未来を託す地域建設企業の経営力の強化が待たれる。
地方が直面する課題を見据えたとき、目を向けるべきは地場産業の再生だろう。地域に眠る資源を発見し、独自の技術とアイデアで掘り起こし、雇用を生み出し、産業を活性化させる。このような地域の課題解決型の取り組みは、「建設トップランナー倶楽部」(代表幹事・米田雅子慶應義塾大学特任教授)のお家芸だ。
来年2月6日には、農林水産省の皆川芳嗣事務次官の発案で、同省と国土交通省の幹部がアドバイザーを務める「建設業と農林水産業の連携シンポジウム」が開かれる。「地方の活性化なくして日本の再生はない」と説く米田代表幹事の下、地域の有力な建設企業という顔を持ちながら、一方で農業や水産業や林業、そしてエネルギーと、収益構造の多柱化に挑む22社が事例を発表する。地方経済をリードする地域のトップランナーの実行力≠ノ期待したい。
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