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建滴 手形支払いの見直し

2021/2/8 

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菅義偉首相が今国会の施政方針演説で「手形払いの慣行の見直し」に言及した。政府は本年度内に手形の振り出しから現金化までの期間を60日以内とする通達を発出するとともに、今夏にも産業界に「約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画」の策定を求める方針だ。建設業は手形の現金化までの平均期間が100日以上と長く、これまでも下請けに資金繰りのしわ寄せが集中する恐れが指摘されてきた。政府の取り組みは立場の弱い企業の経営改善につながる可能性を秘めている。同時に、忘れてはならないのは、手形による支払いが業界の長年の商慣習を形作ってきた点だ。
 「手形払いの慣行」を見直すのなら、政府は個々の業界の取り引き実態を正確に把握する必要があるだろう。特に中小企業というよりも零細事業者が圧倒的に多い建設業において、手形が当たり前のように流通していることを軽々に考えることなく、「慣行の見直し」がただでさえ厳しい資金繰りや円滑な支払いの阻害要因とならないよう、決済手段の転換は慎重に進めてほしいものだ。
 全国銀行協会が2018年に行った手形利用に関する調査では、建設業者から「やめたいが、やめられない」という声が寄せられた。振り出し側の8割強、受取側の9割以上が、印紙代、手数料の負担や、現物の保管・管理に伴う負担を理由に手形の利用を「やめたい」と回答した。それにも関わらず「やめられない」のはなぜなのか。調査結果によると、受取側には電子記録債権(でんさい)を利用している事業者が少なく、また、振り出し側は資金繰りのために手形の利用を求めている―という実態がある。契約から入金までの期間が長く、また重層的な元下関係を構成するという建設業の特性もあって、手形の利用はそう簡単にはやめられそうにない。
 たとえ自社の支払い分を手形から現金に切り替えても、受け取り分が手形払いのままでは手元の現金が枯渇する。これを避けるには、信用保証機関を通じた運転資金の融資など、金融支援制度の拡充が必要だ。根本的には、部分払いのさらなる浸透など、発注者の理解も欠かせない。
 手形に代わる決済手段としては、でんさいやインターネットバンキングが受け皿となるが、一定程度、パソコンなどのデジタルデバイスの扱いに慣れる必要があるだけでなく、経理事務の見直しも発生する。マンパワーが不足している中小・零細事業者に対する金融行政の目配りと、関係機関の支援も欠かせない。
 国土交通省は、建設業法令順守ガイドラインにのっとった支払い条件の改善を要請している。五洋建設や若築建設などは下請けへの支払いの現金化、東亜建設工業や西松建設は期間の短縮に取り組み始めている。これらの社からは、協力会社との関係を強化できたとの肯定的な評価も聞こえてくる。
 建設業のデジタルシフトは他産業よりも遅れている。まずは、これまで「当たり前」だった取り引きの慣習を見直し、決済もデジタル化される時代になったことへの理解を広げる環境整備こそが必要だ。国は、建設業の持続可能性を高めていくための政策に、建設経理の生産性向上という視点を加えることを忘れてはならない。

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