盛土崩壊を防ぐ(4) 盛土に包括規制
2022/7/22
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若井明彦群馬大学教授
盛土規制法では、宅地のような用途にある盛土だけでなく、土捨てなども含めて土を盛る行為全般が規制されることになる。不適正な盛土が招く災害から人命・財産を守るという法の目的を達成するため、実効性の高い規制をどのように考えるべきか―。法の施行に向けて技術基準や規制区域の在り方を議論する有識者検討会で委員を務める若井明彦群馬大学教授に聞いた。
―そもそも、どのような盛土が規制対象となるのでしょうか。
「これまで『盛土』と言えば、土を盛ることで宅地や道路、鉄道などとして利用されるもの、というのが通常の認識だった。こうした盛土については、従来から排水の管理などしっかりした基準が整備されている」
「盛土規制法では土を盛る行為自体に規制が適用される。従来の規制の網にかかっていなかったものにも、高さや勾配など何らかの線を引かなければならない」
「建設発生土については、再利用を前提とした仮置きの土砂も規制の対象となる。どのような基準が適切か、建設業界の声もきちんと聞いた方がいいのではないか」
「残土の処分場だと、あらかじめどのような土を受け入れるか分からない段階で計画を立てている。厳し過ぎる構造性能を求めて、規制が守られなければ本末転倒だ。人命、財産を保護する上で、規制区域とのバランスを見ながら実効性ある基準を議論する必要がある」
―静岡県熱海市では、不適正に処分された土砂が流出して大きな被害を及ぼしました。
「盛土が斜面を流れ、遠方にまで被害を与える恐れを念頭に、盛土を規制する区域を設定しなくてはならない。法の目的に立ち返れば、守るべき人命・財産がある市街地、集落にまで流動化した土砂が及ぶか否かが問題となる。また、人家だけでなく、道路など重要なインフラを保護の対象とするかも考えどころだ」
「規制をかけたときに意図しない影響が出ないか、実在の自治体をモデルにしたケーススタディも必要ではないか」
―盛土規制を実効性あるものにするには何が重要でしょうか。
「既存の盛土に対しては、航空調査や衛星画像を活用したスクリーニングが有効だろう。人命、財産に被害を及ぼす可能性が高い盛土を優先して対処すべきだ」
「盛土規制法により、不適正な盛土への罰則が強化され、行政代執行の規定も整備された。自治体としては対応しやすくなると思う。強固な監視体制を敷いていると広くアピールして『逃げ得を許さない』という抑止力をかけることが、さらなる不適切な盛土の発生を抑制することにつながるはずだ」
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