2024残業規制Dチームで技術者を支援
2023/3/8
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建設ディレクター協会 理事長 新井恭子氏
夜遅くまで続く書類作業が技術者の余裕を奪う。連綿と続いてきた働き方を変えるにはどうすればいいのか。そんな疑問から生まれたのが、工事書類の作成を担い、技術者を補助する資格「建設ディレクター」だ。残業時間の罰則付き上限規制の適用を控え、働き方の見直しを迫られている今、この新たな職域が果たす役割を建設ディレクター協会の新井恭子理事長に聞いた。
―どういった契機でこの資格を創設したのでしょうか。
「技術者の業務内容を調べたところ、書類作業が全体量の6割を占めていることが分かった。本社オフィスの支援を受けたくても、現場ごとに条件が異なり標準化しにくく、専門的スキルを要するため難しい。大きな負担となっているのを解消したいと思い、2017年に資格を創設した」
[心理的な負担を軽減]
―具体的には、どのような業務に従事するのですか。
「積算から工事、竣工まで、必要な書類の作成・整理を補助することで、技術者が現場管理に集中できるようにする。具体的には施工体制台帳やマニフェスト、写真整理、安全書類などだ。技術者の業務量を減らせるだけでなく、書類をチェックする人が他にいることで心理的な負担が軽減されるという声を聞いた」
―導入により、企業はどう変わるのでしょう。
「これまでは技術者の“責任感”に頼って現場が回っているという面があった。しかし、技術者に余裕がなければ若手育成やICT活用、技術力の研さんは進まない。残業規制の強化でさらに余裕を失えば、企業の競争力はじわじわと損なわれることになる」
「目指すのは、チームで現場を管理する体制だ。ノウハウを技術者個人に属人化させず、データも社内で共有できるようにする。現場ごとに分断されていた情報を、建設ディレクターがハブとなって社内で横連携させるイメージだ。技術者にとっては仕事の一部を引き渡すことになるので、意識の転換が必要になる」
[多様な働き方の受け皿に]
―これから、建設ディレクターをどのように育成していきたいですか。
「これまでに協会の育成講座を受講し、資格認定を受けたのは808人。7割を女性が占めていて、新卒や他業種からの転職者も多い。リモート勤務にも適しているので、フルタイムでの出勤が難しい人の雇用の受け皿にもなっている」
「勤務先の業種は土木が6割。これは、公共工事の方が書類の標準化が進んでいて、書類支援の効果を発揮しやすいためだ。また、完工高10億円未満の会社が中心となっている。一般に、大手よりも中小の方が技術者個人の担当する業務が幅広く、負担が大きくなりやすい。建設ディレクターをさらに広めていく中で、中小建設業の新たな働き方のロールモデルをつくりたい」
新井恭子(あらい・きょうこ) 建設業のIT支援を手掛ける京都サンダーで代表取締役を務める傍ら、2017年建設ディレクター協会設立。国土交通省の審議会で技術者資格制度小委員会の委員も務める。
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