2024残業規制Eチームとして組織底上げ
2023/3/15
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ワーク・ライフバランス取締役 浜田紗織氏
「働き方改革によって、自分の会社がどれだけ成長できるか楽しみにしている」―。そう話す地域建設業の経営者が現れてきたと、ワーク・ライフバランス取締役で、コンサルタントの浜田紗織氏は言う。時間外労働の上限規制に対応するとともに、人材の確保・育成に向けた働き方改革と生産性向上を建設業はどう進めるべきか。取り組みのポイントを聞いた。
―労働時間削減の要となる週休2日もまだ建設業では十分に行き渡っていません。課題をどうみていますか。
「働き手が豊富にいて、厳しい就労環境が当たり前だった高度成長期に建設業は大成功した業種の一つだと言える。長時間労働と成功体験が一緒に記憶されている。時間をかけないと良いものは造れないと思っている人もまだいる。社会が変化する中、特に地域建設業は、地域で経営を持続することを社会的使命とし、変化に対応していかなければならない」
[一律の取組は失敗]
―改革を具体的にどう進めるべきですか。
「よくある失敗に、一律での取り組みがある。パソコンを同時刻にシャットダウンしたり、ノー残業デーを設けたりするやり方だ。また、トップの考えも現場にはなかなか浸透しない。建設現場は一つとして同じではない。そして、働き方は社員一人一人の問題であり、各自が納得しなければうまくいかない」
「そこで、どういう働き方をしたいかを、それぞれの部署や現場で社員が話し合い、ギャップを一つ一つ埋めていくべきだ。コアとなるのは、メンバーが自分たちで考え、働き方を変えること。職場が別の現場に変わっても、同じ考え方で対応できる」
―どういった職場づくりを目指すべきでしょうか。
「特定の仕事を特定の人に属人化しないことが重要だ。人数が限られる一方、仕事の幅が広がっていく中、個人戦では対応できなくなる。チームとして底上げし、仕事を分担して回していけるようにしなければならない。できる人が仕事を抱えて残業するようなことは、2024年度以降は通用しなくなる」
―積極的に意見を出しやすい、職場の風通しも必要ですね。
「若手の声をどれだけ聞けるかがポイントになる。働き方改革では、これまでの『当たり前』を疑うことが重要であり、若者にはそれができる。書類の重複の解消など、ちょっとしたことでいい。『ちょっと』を変えることが、後に大きく成長できるかどうかの分かれ目になる。職場の会議では、『心理的安全性』の確保も必要だ。例えば、誰の意見か分からないようにして、意見を付箋に書いて一斉に出してもいい」
[中小にこそ対応力]
―建設業の大半を占める中小建設業の働き方改革が急がれます。
「建設業の現場は、想定外の事態が発生しても、何とか問題を解決し、完成にこぎ着ける。そういった対応は建設業が得意とするところだ。そんなプロフェッショナルな問題解決能力を働き方改革にも当てはめればいい。大企業と比べ、中小建設業の方が本来、変化への対応力が高いはずだ」
はまだ・さおり 東急電鉄で施設建設の現場から、大型プロジェクトなどの事業戦略まで経験し、13年にワーク・ライフバランスに参画。建設・運輸・メーカー・行政などさまざまな職種の働き方改革でコンサルティングを行っている。3児の母。
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