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建滴 関東大震災から100年 持続可能な防災を考えよう

2023/9/1 

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大規模災害時には国とともに応急復旧や現地調査の最前線に立ち、国民の安心・安全を守る。建設業は、そんな「地域の守り手」を果たすべき社会的役割と位置付け、実践してきた。しかし今、深刻化する人手不足や資機材価格の高止まりが、特に地域の中小建設業の経営に大きな影響を与えている。関東大震災から100年という節目の日に当たり、建設業による地域防災を持続可能なものとするために何が必要かを改めて考えたい。
 中小建設業を取り巻く環境は、決して楽観視できない。日本商工会議所の全国景況調査(7月時点)によると、建設業は資機材価格の高止まりが大きな負担となって景況感が悪化。この苦境に、人手不足が拍車をかける。帝国データバンクの調査では、人手不足を理由とした建設業の倒産件数(1〜7月)は52件で、例年を大幅に上回るペースとなった。残業時間の罰則付き上限規制が建設業にも適用される「2024年問題」への対応も課題だ。単価の低さや繁閑差の大きさを背景に、市町村工事の受注企業からは除雪や道路啓開などに充てる体力が奪われるとの声も漏れ聞こえる。
 明るい材料もある。6月には改正国土強靱(きょうじん)化基本法が成立し、「5か年加速化対策」以降も国土強靱化のための公共投資を継続することが明確化された。強靱化事業で災害リスクを低減できるだけでなく、建設業にとっては将来の事業量の見通しを立て、経営を安定化させる後押しになる。
 強靱化事業とともに、地域の持続可能性に直結するのがインフラ維持管理だ。だが、技術職員や予算の制約もあり、点検で不具合が見つかっても対処しきれない施設が増えている。人口減少が続く中でもインフラの機能を維持し、強靱化事業を円滑に執行できる方策を考えなくてはならない。
 参考になるのが、仙台建設業協会の会員が17年に設立した「杜の都建設協同組合」だ。多数・少額になりやすい災害復旧工事の受け皿となり、受発注者双方の負担を軽減。さらに、インフラの点検・管理を複数年契約で受注することで、組合員である地元建設企業の経営を安定化につなげる狙いもあるという。
 発注者側にも工夫が求められる。国交省の審議会の部会は昨年末、自治体の枠、インフラの種別をまたいで維持管理を一括発注する「群管理」を提言。市町村の技術職員が不足する中で、安定的な工事発注を可能にする仕組みであり、早期の具体化を求めたい。
 マンパワー・予算が限られる中での防災対策を、地震学者の目黒公郎東京大学教授は「貧乏になっていく中での総力戦」と形容する。このため、安全・安心と生活の利便向上を両立させる防災ビジネスを振興し、民間のマネーも活用するよう説いている。
 首都直下地震や南海トラフ地震のような国難災害に備えるには、これまでにない発想が欠かせない。公共事業の受発注環境の改善はもちろん、地域の安全・安心につながる投資を民間事業者から引き出し、防災の市場を広げる工夫もまた、必要ではないか。地域に密着する建設業だからこそ、気付くことのできるニーズがあるはずだ。

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