週休2日制工事 地方公共団体で導入促進を
2023/11/6
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2024年4月から建設業にも適用される時間外労働の上限規制への対応と、建設業の担い手確保に向けた就労環境改善の鍵となる「週休2日制工事」の導入が市区町村で進んでいない。建設業をパートナーとし、防災や地域のインフラの整備・維持に当たる地方公共団体こそ、率先して制度の導入に取り組むべきであり、後ろ向きな姿勢でいることは許されない。
国土交通省関東地方整備局が、管内の政令市を除く市区町村415団体を対象に、週休2日制工事の2022年度の取り組み状況を調査したところ、災害復旧工事などを除き、対象となるすべての工事を週休2日制工事として発注していたのは、わずか4・3%の18団体だった。一部の工事に週休2日を適用している団体に拡大しても、実施団体は全体の18・8%の78団体にとどまった。
30・6%の127団体は、「おおむね1年以内に試行」を予定していた。だが、半数を超える50・6%の210団体が「未導入・未検討」と回答し、全体では極めて物足りない調査結果だった。
調査結果では、取り組みの地域間格差≠煬ー著だった。栃木県では25団体のうち、災害復旧などを除く全ての工事を週休2日の適用対象にしている3団体を含め、全体の44%の11団体が週休2日制工事を発注していた。一方、神奈川県では30団体のうち2団体しか取り組んでおらず、その2団体も適用対象は一部の工事にとどまっていた。
取り組みの格差からは、地域の安全・安心を守る建設業の重要性に対する各団体の認識や、建設業の経営の持続性確保に関する問題意識の差が透けて見えてくる。一部には、週休2日制工事の実施に伴う工事費の割り増しを嫌い、制度化を躊躇(ちゅうちょ)する団体もあるという。しかし、その経費はいまや、行政に不可欠な社会的コストとして考えるべきだ。
全国建設業協会が10月に全国9地区で開催した国交省との地域懇談会・ブロック会議でも、働き方改革の推進は重点課題の一つとなり、週休2日の導入についても活発に意見が出された。週休2日制工事の労務費や現場管理費などの補正係数の引き上げなどとともに、取り組みや対応が進んでいない市区町村や民間工事への指導を求める声が目立った。
人材確保のための労働条件や就労環境の改善の必要は切実さを増している。少子化を背景に産業間の人材獲得競争が激化する中、「数年前までは毎年若手を2〜3人採用していたが、最近はゼロになった」と危機感をにじませる、中小建設業や専門工事業の経営者の声を聴くことが少なくない。
中小建設業も自ら、ITの活用など業務の効率化による時間外労働の削減や就労環境の改善など、人材確保に向けた経営改革に努力しなければならない。一方で、週休2日制工事の制度整備などを通じて地方公共団体もこれを後押しするべきだ。
残された時間は少ない。全国中小建設業協会が10月25日に開いた関東ブロックでの国交省などとの意見交換会で土志田領司会長は「中小建設業が10年後、20年後に残っていくためには、今年から来年にかけての改革の取り組みが極めて重要だ」と述べた。その言葉は重い。
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