会社に報告した残業時間 実態と「乖離」は2割
2024/5/2
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日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、木浪周作議長)は、組合員を対象として2023年11月に行った「時短アンケート」の結果をまとめた。会社に報告した残業時間と実態に「乖離(かいり)がある」と回答した割合は19・7%で、外勤者に限ると27・6%となった。時間外労働規制を意識した結果、報告を自粛してしまうような傾向も見られた。
「乖離がある」と回答した割合は、実際の残業時間が増えるにつれて拡大していた。残業時間が30〜45時間の層では、乖離がある回答者は12・3%しかいなかったが、80〜100時間では70・6%にまで拡大。こうした傾向は、前年と比べても顕著になっている。
乖離が発生する理由については、内勤・外勤を問わず「三六協定時間を超えてしまうので忖度/自粛」が多かった。日建協は、「時間外労働の上限規制を意識するあまり乖離申告につながってしまっている」と分析している。
時間外労働の短縮は進んでいる。全体平均は36・1時間で、前年と比べて4時間減少した。職種別では、外勤建築が52・1時間、外勤土木が46・6時間で、いずれも5時間以上の減少。ただし、4月からの時間外労働規制で「年6回まで」とされる、月45時間の水準に外勤者は達していなかった。
過労死ラインとされる月80時間以上の時間外労働の割合は全体で7・7%、外勤で13・0%だった。
残業の主な理由を見ると、内勤では「決算や竣工前など時期により一時的に業務が増える」が最多。外勤では「仕事の性格上、早出・残業する必要がある」が最多で、以下、「配置の人員が少ない」「発注者向け書類が多い」といった声が寄せられた。外勤者に労働時間短縮に必要なことを聞くと、「発注者による適正工期の設定」が52・5%で突出して多かった。
調査した23年11月は、カレンダー上では10日の休日(土日祝)があったのに対し、外勤全体では平均8・9日の休日を取得していた。現場の閉所が増えるほど休日の取得日数も多く、4週8閉所の現場では9日間の休暇を取得できていた。
発注者別では、国土交通省の現場では4週8閉所の設定が9割近くを占めた。ただし、受注時には4週8休を設定していても、実際の取り組み状況を聞くと4週8閉所の取り組み率が10ポイント以上下がっている発注者が多かった。また、民間デベロッパーなどが閉所を増やしたのに伴い、時間外労働が増えた発注者もあった。
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