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阪神高速の現場を見る
関西の再生・発展には、ミッシングリンク解消に向けたネットワーク整備が不可欠―。
阪神高速道路会社では、都市部でのより強固な自動車専用道路ネットワークを形成するため、大阪都市再生環状道路に位置付けられた大和川線と松原ジャンクション(JCT)、都心流出入交通の分散を図る守口JCT(仮称)の工事を促進する。供用に向け最盛期を迎える、これらの現場を訪問した。
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【大和川線】
2016年度末の完成に向け工事が加速
大阪都心南部を東西に貫く阪神高速6号大和川線は、4号湾岸線の三宝JCT(仮称)と14号松原線の三宅中付近とを結ぶ延長9.7`の路線。
このうち、松原市の三宅西出入口〜三宅中の0.6`を3月に開通し、残る区間は2016年度末の完成に向けて工事が加速する。
完成すると、関西国際空港から沿線地域への所要時間が16分短縮するほか、開発が進む堺浜・大阪南港から広域幹線道路網へのアクセスが向上。さらには渋滞緩和によりCO2排出量が年間7.5万d削減し、沿道環境の大きな改善が期待できるなど整備効果は絶大だ。
延長9.7`のうち、開削トンネル・シールドトンネル区間が全体の7割を占める。
阪神高速道路会社が担当する本体施工区間は5.5`(堺市との合併施行区間の常磐工区0.5`含む)で、全13工区で工事が展開される。
三宝JCT(仮称)付近の三宝第1工区では、道路本体工事の橋脚工、RCラーメン橋工、RC床版工などのコンクリート系工事、鋼桁および鋼製橋脚のメタル工事を行っており、三宝出入口の改築(大阪市内方面)、新設(関空方面)を含めた橋梁、土工などを構築中。進捗率は約80%。
また、街路接続部付近には料金所を設置し、舗装、標識、遮音壁についても順次整備を進めている。開削トンネル工事の状況を見ると、三宝第2工区は進捗率98.1%。擁壁などの構造物は完成しており、地下に潜る入り口付近の盛り土工を実施している。
三宝第3工区(その1)は後行ブロックの函体構築中で、進捗率69.8%。三宝第4工区(その1)は掘削、支保工、函体工を進めており、進捗率は49.2%となる。七道工区については、鉄道委託工事(南海本線、阪堺電気軌道)に挟まれた区間で函体を構築中であり、阪堺線東側ではトンネルの床部分を整備している。進捗率は69%。常磐工区は覆工版の施工を終えて掘削が本格化、進捗率は40%。三宝第4工区(その2)と遠里小野第1工区、遠里小野第2工区は竣工済み。
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西日本最大級のシールドマシン/1770bの掘進が完了
シールドトンネル工事では、西日本最大級のシールドマシンが遠里小野立坑を出発し、順調に掘進中。片道2`(往復4`)の工程となり、9月11日時点で1770b(堺市北区常磐町1丁付近)の掘進が完了している。
遠里小野換気所新築工事は、早期着手に向けて調整中だ。南海本線と阪堺電気軌道の交差エリアについては、それぞれの鉄道会社に委託。アール・アンド・シー工法によるアンダーパス工事が本格化している。南海電鉄委託エリアの進捗率は74.7%。完成は15年2月を予定する。一方の阪堺電気軌道委託エリアの進捗率は91%で、ことし12月の完成を目指す。
※進捗率は全て8月末時点
【松原JCT】
松原線・近畿道・西名阪道・阪和道の全方向に接続
阪神高速14号松原線は、松原JCTを介して西名阪自動車道、阪和自動車道とのみ接続されている。このため松原JCTを改良し、新たに14号松原線と近畿自動車道の北方面とを接続、大阪都市再生環状道路の機能を確保する。
現在は14年度末完成に向けて、松原JCTのGランプ渡り線とHランプ渡り線の建設を進めている。この整備が完了すれば、14号松原線、近畿道、西名阪道、阪和道を全ての方向に接続することが可能となる。
Gランプは、近畿道南行きからAランプを介して分流し、14号松原線に合流する延長0.6`の渡り線で、下部工、鋼桁の架設を終えた。阪和道直上に位置する鋼桁の架設では、550dオールテレーンクレーンを使用した鋼桁大ブロックの一括架設を採用し、交通量の少なくなる夜間に阪和道を通行止めして作業を行った。今後は橋面工(床版、高欄)の施工、仮設物の撤去を実施していく。
一方のHランプは、14号松原線からFランプを介して分流し、Cランプを介して近畿道北行きに合流する延長0.7`の渡り線。8月末の進捗率は下部工が74%、上部工が68%となる。今後、非出水期に大和川河川内の工事を再開。建設に先立っては、大阪府道中央環状線を移設する必要があったため、大阪府に工事を委託した。
守口JCT
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【守口JCT】
守口線と近畿道の相互乗り入れ可能に
古くから京都と大阪をつなぐ交流の拠点となっている守口市。中でも阪神高速12号守口線の終点部に位置する大日付近は、近畿自動車道、阪神高速、国道1号、大阪中央環状線、大阪高速鉄道などが南北、上下に重なる交通の要所となっている。
12号守口線と近畿道とが直結していないことから、双方の乗り継ぎは一般道を経由する必要がある。その乗り継ぎ車両などによる混雑の早期解消と交通導線の改善が求められていたため、NEXCO西日本との共同事業により両路線を直結する守口JCTを設置することとなった。
阪神高速道路会社発注の「守口ジャンクション鋼桁および鋼製橋脚その他工事」は、09年9月に契約締結。昨年9月には国道1号(寝屋川バイパス)直上で曲線桁の連続送り出し架設を行い、国道1号の規制時間を短縮するなど、都市部での困難な工程を着実にクリアしている。8月末に床版工事がおおむね完了。
今後は舗装や標識設置、照明施設など、14年3月の供用開始を目指し、仕上げの工事が行われる。
鹿島
条件に適した作業計画を策定
松原JCT下部その他工事では、供用中の高速道路と中央環状線に挟まれて点在する狭い場所で、圧入ケーソンなどの基礎工と橋脚築造工を施工しています。
このため、一般の通行車両など、第三者への安全を第一に考え、施工ヤードごとの条件に適した作業計画を策定し、細心の注意を払って作業を進めています。
今後も引き続き、安全作業に努めます。
三菱・駒井ハルテックJV
3次元追従可能な装置で架設
モノレールの運行上、作業時間が限定されたうえに、工事用資機材をストックしておくスペースが無いなど、困難な課題に日々直面する現場でした。
曲線桁の送り出し架設には3次元追従可能な装置での架設を採用し、安全かつスピーディーに作業を終えることができました。
工事はほぼ完了していますが、最後まで気を抜かず無事故・無災害に努めます。
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