東海環状西回り2020年度全線開通を目指し|建通新聞社

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東海環状西回りルート 2020年度全線開通を目指して

大垣西インターチェンジ(IC)から養老ジャンクション(JCT)間の延長約6`が2012年9月に開通し、残る西回り区間の延長約71`の早期の完成が望まれている国道475号東海環状自動車道。同路線は愛知・岐阜などの都市を環状に連絡し、広域的なネットワークを形成する延長約160`の高規格幹線道路だ。
残る西回り区間の岐阜県区間は延長約47`。国土交通省と中日本高速道路がそれぞれ一般国道事業と有料道路事業による事業方式で整備を行うこととなり、20年度までに全線を開通する目標だ。

全線開通による事業効果や地元の期待と要望、さらには今後の事業の取り組みなどについて紹介するため、地元を代表して東海環状自動車道岐阜県西部地域建設促進期成協議会の堀江博海会長と東海環状自動車道西濃地域建設促進期成協議会の小川信也会長、事業者を代表して整備を担当する国土交通省岐阜国道事務所の石井克尚所長に紙面上で鼎談(ていだん)していただいた。

堀江博海

――2020年度全線開通に向けて。

石井  国道475号東海環状自動車道は、名古屋市中心部から30〜40`圏に位置する愛知・岐阜・三重3県の豊田市から岐阜市、大垣市、

四日市市などの都市を環状に連絡し、新東名・新名神高速道路や東名・名神高速道路、中央自動車道、東海北陸自動車道などと広域的なネットワークを形成する延長約160`の高規格幹線道路だ。  

このうち、東回り区間の豊田東ジャンクション(JCT)から関広見インターチェンジ(IC)間の延長約80`と西回り区間の大垣西ICから養老JCT間の延長約6`が12年9月に開通済みで、残る西回り区間の延長約71`のうち、岐阜県区間の延長約47`を当事務所が担当しており早期の完成が望まれている。11年6月に一般国道事業と有料道路事業による事業方式で整備を行うことが決定され、20年度までに西回り全線を開通する目標が示された。12年9月に開通した区間以外では、関広見ICから高富IC(仮称)では、延長170bの武儀川の渡河部、西回り区間では初めてのトンネル工事となる延長1350bの三輪トンネル(仮称)と延長600bの北野トンネル(仮称)の工事に着手していく。

高富IC(仮称)から糸貫IC(仮称)間では、用地取得前の事業計画説明会を7月から8月の間にそれぞれの地区で開催した結果、地元の了解を得たので、用地幅杭設置と用地測量を進めていく。糸貫IC(仮称)から大野神戸IC(仮称)間では7月から用地取得を開始している。大野神戸IC(仮称)から大垣西IC間では延長731bの揖斐川の渡河部、養老JCTから養老IC(仮称)間では延長255bの牧田川の渡河部の工事に着手していく。養老IC(仮称)から岐阜県・三重県境間の用地取得前の事業計画説明会を3月から4月の間にそれぞれの地区で開催した結果、地元の了解を得たので用地幅杭設置と用地測量を進めている。各IC間の事業進捗状況はまちまちだが、全線で用地取得に着手することができるので、引き続き調査や設計、工事着手に向けての準備や工事などを進め、20年度までの全線開通へ向け岐阜県や関係市町と連携を図り、地元の皆さまの協力をいただきながら事業を進めている。

小川  西濃地域は、名神高速道路をはじめ国道21号、258号など多くの道路が通っている。しかし、現状では十分な整備が行き届いているとは言い難い。

高速道路の建設は、経済面、観光面などにおいて目的地までへの所要時間を短縮し、それぞれの効果を高めるためにも、産業基盤強化の面からも非常に重要な要素だ。昨年9月15日に、大垣西IC〜養老JCT間が開通し、企業の事業活動や観光事業などに役立てられており、1区間の開通ではあるが、今後の全線開通に向けて、大きな弾みとなっている。現在、西回りルートの各所では、用地取得や道路建設工事などが進められているが、西回りルートの機能を最大限に発揮できるよう、関係団体などが道路建設に対する、より一層の要望活動を行うことにより、一日も早い全線供用を目指していく。

小川信也

堀江  内陸に位置し、産業の高度化や情報関連など新たな産業の創出を目指す岐阜県においては、道路交通の果たす役割は極めて重要であり、定時性に優れた幹線道路の早期整備は必要不可欠だ。幹線道路は、結節されてはじめて外部効果を含めたネットワークとしての機能を発揮するものであり、西回りルートを含め全線供用された後の沿線地域全体における経済効果については、計り知れないものがある。こうした中、大野神戸IC(仮称)や山県地区などについても本体工事に着手したことは、大変うれしいことだ。他の区間についても、早期に整備効果が発揮され、順次供用が図られるように要望をしていきたいと考えている。

 

――大垣西ICから養老JCT間開通による経済効果は。

石井  東海環状自。動車道東回り区間が05年に開通したが、道路沿線で企業立地、工業団地の数が飛躍的に伸びて地域の活性化に貢献している。12年9月に約6`が開通した西回りの沿線には、工業団地の整備・計画が進められており、今後西回り区間の全線開通により沿線地域の更なる地域経済活性化が期待できる。また、観光地や大型ショッピングモールなどもあるため、地域の活性化が期待されるところでもある。

 

小川  西濃地域にとって、西回りルートが全線開通することは、愛知県、三重県などへのアクセス時間が短縮され、既存企業の業務拡大や、企業誘致の可能性の増大、観光客の増加、新たなライフスタイルの実現など、多くの可能性を秘めている。これらはもとより、雇用促進や人材育成の観点からも重要な道路であり、計り知れない経済効果が期待できる。また、東海環状自動車道が南へ延伸し、新名神高速道路に接続されることによって、名神高速道路の降雪による通行止めを回避でき、物流などを遅滞なく行うとともに、交通渋滞の解消にも貢献するものである。さらに、物流ネットワークや観光地アクセスの面では、西濃地域から四日市へと結び、伊勢湾岸道から、中部国際空港や名古屋港への接続が格段に向上し、関西圏へもつながる意義は大きい。加えて、北への延伸においては、各市町間の所要時間が大幅に短縮し、連携強化、企業進出の促進、新たな雇用機会の創出、観光地への利便性向上へつながる効果がある。

 

堀江  東海環状自動車道東回りルートは、05年供用開始以降、岐阜県では企業進出件数が3.4倍、企業立地面積が5倍になるなど非常に大きな経済効果があり、ルート沿線の多治見市では、トヨタ自動車が進出した。西回りルートについてもインターチェンジ周辺への企業進出を大いに期待している。また、東海環状自動車道西回りルート大垣西IC〜養老JCT間の開通後6カ月間の交通量は、延べ40万台、平均交通量は全日約2200台/日(平日2100台/日、休日2500台/日)と休日交通が平日交通の約1.2倍と、周辺ICと比較して休日の利用率が高く、西回りルートの開通時には関西方面から県内観光地へのアクセス向上へ寄与するものと想定される。同時に四日市港や名古屋港への到達時間の短縮につながることから、物流面においても重要な役割を果たすはずだ。
さらには、中部国際空港を起点とし、東海環状自動車道を利用した観光ルートの策定などを今後検討することで、海外からの観光誘客促進においても大きな役割が期待できる。

 

――地元自治体や産業界、建設業界がとるべき対応は。

石井  国、県の財政が厳しい中で、東海環状自動車道の整備の必要性、重要性、緊急性を幅広く多くの方々に理解していただくことが大切と考えている。地元自治体などと連携を図り経済界、建設業界などと一体となってアピールしながら、広く地元の皆さんの理解と協力を得て事業を推進していく。

地元の建設業の方々には、事業を進めるに当たり多くの部分を担っていただいているが、これからも引き続き、地元の建設業の方々の技術力を生かしながら事業を進めていきたいと思う。このことは地域の雇用機会を高めるなどの経済的な効果に加えて、災害時には地元に精通した能力を活かし、機動的に地域の安全・安心を守っていただくという効果にもつながると考えている。

東海環状道西回り


小川  地元自治体は、地元住民の意見を取り入れながら、地元の利益につながる事業となるよう検討する必要がある。特に、IC周辺開発は、市街地活性化と地域資源・資産を活用した地域活性化に貢献するという点や、行政による積極的なプランニング・マネジメントと公共投資が考慮されるべきである点を提言したい。

また、高速道路が通過交通とならないようにするとともに、人口流出などのデメリットも十分に考慮した上で、総合的な戦略を考える必要がある。産業界においては、地元自治体と協調して、東海環状自動車道の有効活用が図れるよう手立てをしていく必要がある。西回りルートだけでなく、東海北陸自動車道などほかの道路のネットワークによるアクセス短縮効果を生かした戦略を考えていく必要がある。
例えば、知名度の高い観光地や地域の特徴を生かした、『車で回れる新たな観光ルート』の創出などである。道路建設に伴い、道路周辺、特にIC周辺は、多種多様な施設の建設が進むと思われるが、地元自治体などの明確な方針の上での秩序ある開発に努めていただきたい。

着工式

堀江  東海環状自動車道西回りルートの完成は、沿線地域の地域経済活性化、岐阜県西部地域の緊急医療ネットワークの強化につながるだけでなく、災害時の輸送ルートとしても期待されている。このような東海環状自動車道のポテンシャルを最大限に、効果的に発揮するためには、東海環状自動車へのアクセスルートの整備は欠かすことができない。
地元自治体をはじめとして産業界として、完成後の地域経済の在り方を踏まえつつ、アクセス道路の整備・拡充に努めていきたい。


 

――その他について。

石井  そのほか、岐阜IC(仮称)付近には県内唯一の高度救命救急センターである岐阜大学医学部付属病院があり、東海地域の他の病院と連携することにより高度救命救急医療を幅広く担うことに役立つと思われる。また、東海、東南海・南海地震の発生時には濃尾平野を中心に大きな揺れが想定されている。
東海環状自動車道は、こうした地震の揺れの大きな地域と海抜ゼロメートル地帯を避ける位置を通っている。東日本大震災で内陸部の東北自動車道が緊急輸送路として重要な役割を果たしたように、東海環状自動車道も同様の効果が期待されている。


 

小川  地域の大動脈となる当西回りルートの早期完成に向けて、東海環状自動車道建設事業に重点的に予算配分をお願いするとともに、道路整備が滞ることがないよう安定的な予算を確実に確保することなどを、各種関係団体が一丸となって、国土交通省や中日本高速道路などへ要望しつつ、早期完成の実現に向け努力していきたい。


 

堀江  わが国をとりまく状況には、少子高齢化や逼迫(ひっぱく)する財政状況など大変厳しいものがあるが、東海環状自動車道は、わが国の成長力・競争力の確保、地域の活性化につながるものであることから、一刻も早い全線供用を望んでいる。
また、当地域においては、南海トラフ巨大地震が想定される中、災害時における住民避難や災害復旧時における支援物資輸送ルートとして高規格幹線道路が果たす役割は大きく、東海環状自動車道整備による交通網確保は必要不可欠だ。
さらに、巨大地震に伴う大規模な津波により、太平洋側沿岸において超広域で甚大な被害が想定されることから、被災地域外からの支援が限定的にならざるを得なくなる。こうした中で、県境を越えて被災地域の負傷者や行方不明者の救助救援、支援物資や必要機材の輸送網の確保に加え、各地域の防災拠点が連携するためには、当地域の生命線である幹線道路網の更なる耐震化は欠かすことができないものだ。
今後、全線の耐震強化並びに早期完成を強く求めていきたいと考えている。

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