【静岡県】強靭な県土をつくる|建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]
フルハシEPO

ホーム > 特集 > 企画 > 【静岡県】強靭な県土をつくる

強靭な県土をつくる

〜孤立阻止へ県総合防災訓練〜

浜松市沿岸部で進む防潮堤整備。強さをたたいて確かめる子供たち

 賀茂地域は、南海トラフ巨大地震が発生した場合、津波による沿岸部の被害に加え、山間部の主要道路が途絶することが想定され、発災初期段階で地域全体が孤立しかねない状況が想定される。このため訓練では、津波からの避難や避難所の運営など住民が自ら行うとともに、自衛隊をはじめとする防災関係機関と連携して航空機、船舶を使った機動的な救援活動を展開し、検証する。
一方、東日本大震災の被災地・岩手県、山田町などへ復旧・復興支援のために職員を派遣している中で、静岡県交通基盤部では帰任した技術職員の知識や経験を、南海トラフ巨大地震などの備えに生かす取り組みの検討を始めている。知見を活用して粘り強く対応し、早期復旧できるような行動計画を策定することで、事前復興につなげる。
特集では、知見を生かした県の取り組みについて寄稿してもらうとともに、県内沿岸市町の津波対策についてまとめた。災害に対して強靭(きょうじん)な県土づくりが今後も進められていく。



各自治体の防災対策


東部地区 各所で津波避難タワー計画 津波避難ビル建設を要望


県東部では、伊豆市と松崎町が津波避難タワー建設を計画している。また、東伊豆町も庁舎4階に設置されている災害対策本部への津波被害を防ぐため、海抜の高い土地への移転を計画している。伊豆市は、八木沢での津波避難タワー建設の測量と設計、工事を2014年度中に発注したい構えだ。松崎町は同町松崎の西区で津波避難タワー1基の建設を14年度内に発注する予定だったが、西区が「津波避難タワー建設を休止し、防災津波避難ビルを建設する」よう求める要望書を町長に提出した。町はこれを受理。県へ相談するなどして今後の方針を検討する構えだ。東伊豆町は、災害対策本部代替施設整備について14年度中に町議会に通し修正設計を発注。15年度の工事着手を目指している。


南伊豆町の津波避難タワー

 伊豆市が八木沢で整備する津波避難タワーはステージ高さ地上約13b、ステージ面積約100平方bで定員200人を想定しているが、縮小される可能性もある。構造は今後詰める。8月末から9月をめどに国土交通省への補助金手続きを行う。同市は14年度当初予算に八木沢での津波避難タワー建設について1億6800万円を計上。内訳は、測量委託300万円、設計・施工監理に1500万円、設置工事に1億4500万円、用地購入費500万円など。用地の地質調査は13年度に東洋地研(沼津市)が担当した。小土肥の生活改善センターでも津波避難タワーの建設を計画している。規模は八木沢のタワーよりも若干小さくなる見込み。

松崎町は、松崎地内の西区の那賀川河口付近に津波避難タワーを建設する計画を進めてきた。ステージ高さは地盤面から12b、ステージ面積約100平方bで200人を収容できる規模を想定。構造はプレキャストコンクリート造で太陽光発電式の照明を設置、防災倉庫などは設けない―といった条件で、建築に伴う設計を構建設計(三島市)に、地質調査をジーベック(静岡市葵区)に委託し進めていた。また、建設地の建物解体も併せて行われていた。しかし8月に入り西区が、部屋機能を有し備蓄も可能で会議などもできる防災津波避難ビルが必要とする要望書を町へ提出。従来の計画の津波避難タワー建設を休止し、いわゆる防災センター機能を有する避難ビルを建設するよう要望した。町は対応を協議し地元に町の意向を示す予定だ。

東伊豆町は、稲取の町役場4階の災害対策本部を稲取3031-352ほかの町有の空き地に移転する。災害対策本部の他に避難所を併設する。設計は既に行われているが、14年度中に修正設計を発注し、工事を15年度に発注予定。また、奈良本1271-225ほかの旧ロイヤルホテル跡地にも避難地を整備する。施設内容や規模などはこれから精査する。

沼津市は、津波緊急避難施設として、2014年度に(仮称)ときわ津波避難施設(築山)を建設する。  同施設は、避難困難地区の一つである千本常盤地区に周辺住民と建設地に隣接する「ときわ保育園」の園児の安全を確保するため、建設するもの。
建設地は千本地内の中部浄化プラント区域内の緩衝緑地で、敷地面積は、約5000平方b。設計は中央コンサルタンツ静岡事務所(静岡市葵区)が担当した。
 


中部地区 15〜17年度に12カ所 (静岡市の津波避難施設整備)


静岡市は、地震や津波による被害をできるだけ少ないものとするため、『減災』を基本理念とした「静岡市地震・津波対策アクションプログラム」を2013年度にまとめた。
計画期間は13年度から22年度までの10年間で、建築物の耐震化や命を守るための施設整備など、減災を達成するためのアクション112項目を盛り込んでいる。
アクションプログラムでは、アクションごとに具体的な取り組みと達成すべき数値目標、達成予定時期を定めている。定期的に達成状況の検証を行い、その結果を踏まえ必要に応じて対策の手法や目標の見直しを行い、内容を公表していく。このうち、中長期の対策については、静岡市総合計画の中に柔軟に取り入れながら、着実に推進していく方針。

塩田公園に設置した津波避難タワー

 市は、津波対策として「津波避難施設」の整備を進めており今後、14年度に三保地区へ命山(いのちやま)の整備を予定。また、駿河区中島地区の大浜荘敷地内と、同区長田南地区の汐入公園に津波避難タワーを設置する計画で14年度内に発注する方針。
市内には、津波から避難することが難しい空白エリアが21カ所あり、これまでに市内9カ所での施設整備が確定。残り12カ所について、15〜17年度までの3カ年で整備を行っていく。

牧之原市は、津波防災事業について2014年度から本格的に工事着手する。本年度中に避難タワーB・F・Iブロック3基と避難ビル1棟を完成させる。

タワーは全体で9基の設置が予定されており、6基を15、16年度に建設する。15年度はG・E・Lブロック3基、16年度はA・H・Kブロック3基を建設。設計についてはG・E・Lブロックはすでに発注済みで、A・H・Kブロックは14年度内に発注する。14年度に建設する避難タワー3基と避難ビルはすでに工事発注済み。
タワーの建設地は、静波にG・EA・Hブロックの4基、波津にLブロック1基、福岡にKブロック1基。
市では、静岡県第4次地震被害想定に基づき、基本目標や具体的な対策・計画をまとめた「牧之原市津波防災まちづくり戦略プラン」と「牧之原市地震・津波対策アクションプログラム2013」を策定した。  津波避難タワーやビルの整備は、地震・津波対策アクションプログラムに含まれており、計画期間は13年度から22年度までの10年間。施設の耐震化や命を守るための施設整備、医療救護体制や地域防災力の強化など全部で100の対策が盛り込まれている。計画の概算費用は14年2月の段階で約142億円。内訳は津波避難タワー・ビルや、いのち山の整備に21億円、緊急輸送路の整備や高台への避難路・避難地整備に16億円が見込まれている。16年度末までにタワーとビル、いのち山の整備を完了させる。


西部地区 【掛川モデル】を試験施工


御前崎市の津波対策は、ソフト面では浸水域に入っている地域で2014年度中に津波避難計画を策定する。
ハード面では、1太陽光発電を設置した避難路の誘導灯を整備するほか、港周辺で非常警告灯を同報無線の上に設置するなどの整備を本年度に実施する。
14年度に策定する津波避難計画を受け、今後ハード・ソフト両面でより具体的な整備を実施していく方針だ。

袋井市港命山


掛川市は、県の第4次被害想定に基づく「地震・津波対策アクションプログラム」の公表を受け、海岸防災林を強化させた津波対策として「掛川モデル」を公表し、本年度は試験施工の実施を予定している。
「掛川モデル」は、津波対策として保安林を強化し、レベル1を超える津波に備えた整備を行うもの。国土交通省浜松河川国道事務所が実施する菊川河道掘削で発生する土5万立方bを利用し、市が測量設計・地質調査、全体計画、盛土し、その上に県中遠農林事務所が保安林区域内の枯損木の撤去・植樹を行う。
試験施工の施工場所は沖之須の沿岸域約3f。高さについては県側との調整を進めており、想定では海抜10〜12bに設定する。今後、秋ごろにも工事着手を見込む菊川河道掘削に合わせ、土砂の受け入れを開始する。本体工事の発注時期、発注方法については検討を進める。

湖西市は、県の第4次被害想定を受け、津波が到達するまでの間に避難できないエリアを津波避難施設空白域として、そのエリアをカバーできるようにタワーや避難マウントの整備を進める。
現在、地元自治会や自主防災会で整備場所などを検討しており、地権者らとの話し合いを経て、整備予定箇所を決定する。その後、市がどのような整備工法などの検討に入る。早ければ2〜3年後の施設完成を見込む。
現時点で、2〜3の自治会や自主防災会で検討が進めている。



南海トラフ巨大地震等大規模災害への備え

〜東日本大震災から得られた教訓・知見の活用プロジェクト〜


野知部長らに報告する13年度の派遣職員

「事前復興行動計画」の策定(寄稿)
静岡県交通基盤部
事前復興行動計画検討委員会
委員長 杉保聡正(河川砂防局長)



静岡県交通基盤部では、「事前復興行動計画」の策定・推進に取り組んでいます。
2011年より交通基盤部から東日本大震災の復興支援活動として、延べ100人程の職員を岩手県に派遣してきました。支援活動を通じて、多く教訓や課題、ノウハウなどを得ることができました。このプロジェクトは、職員が得た知見などを生かして、南海トラフ巨大地震等の発生により想定される、被害直後や復旧・復興期の状況をシナリオ(想定される展開)として整理し、想定される被害を最小限に食い止め早期の復興を実現するための行動計画を策定、推進することで、「事前復興」に向けて万全な体制を構築することを目的としています。
まずは、昨年策定した「静岡県第4次地震被害想定」に復興支援活動により得られた知見を加え、交通基盤部に関係するシナリオを作成し、現状での課題を抽出します。その後、課題に対する各ステージでの解決策を検討し、本年度末を目途に、行動計画としてまとめる予定です。


熊本県測量設計コンサルタンツ協会と静岡県測量設計業協会の災害時相互応援協定締結

 過去3年間の復興支援活動を通して、派遣職員からは体制強化、用地確保、入札制度及び設計施工等の観点から87件もの状況報告や改善提案がされています。現在は、こうした提案を活用するための整理分析を進めるとともに、7月9日には、部内に課長級の職員で構成する「事前復興行動計画検討委員会」を設置し、本県の状況に則した効果的な対策が立案できる体制を整えたところです。また、「震災シナリオ」、「体制強化」、「入札制度」、「用地処理」、「設計施工」の部門毎に派遣経験職員を中心とした担当職員で構成するワーキンググループを設置し、具体的な内容について鋭意検討を進めています。
派遣職員の状況報告の中に、測量・設計技術者の不足が大きな原因となり、復旧作業が遅れているというものがありました。この報告を踏まえ、7月31日に、同時被災リスクが少なく、被災時に空港を活用した効率的な支援が期待できる「熊本県測量設計コンサルタンツ協会と静岡県測量設計業協会」の災害時相互応援協定が締結されましたが、こうした事例を数多く実行していくことが、このプロジェクトの狙いであります。
このように交通基盤部では、これまで進めてきた橋梁耐震化や防潮堤整備等のハード整備に加え、このプロジェクトを通して、大規模災害発災時に速やかな復旧を可能にするためのソフト対策に主眼を置いた日常業務の改善や防災力の強化を図り、防災先進県の誇りを懸けた命を守る「ふじのくに」づくりに努めてまいります。

 

東部
大同機械
  • 四国建販
  • ダイナナ

PR

中京テレビ
電子版のお申し込みはこちら 新聞(宅配)のお申し込みはこちら

ログイン

ALINCO
システムズナカシマ

企画特集

  • <font color="#ff0000;"><b>[New]</b></font>Catch-up

    [New]Catch-up
    働き方改革、デジタル化、カーボンニュートラル…。Catch-upでは建設産業を取り巻く話題、最新の法改正などの動向をタイムリーに紹介しています。

  • 連載「脱炭素のホンネ」

    連載「脱炭素のホンネ」
    改正建築物省エネ法の成立は、建築分野の脱炭素化に向けた大きな一歩となった。新築建物については種類を問わず、省エネルギー基準への適合が義務化されることとなった。だが、ある“難題”がまだ立ちはだかっている。

  • インフラメンテナンス 次の10年

    インフラメンテナンス 次の10年
    9人の尊い命を奪った中央道の笹子トンネル天井板崩落事故から10年がたった。国の調査委員会が「わが国において例を見ない」と形容したこの悲劇をきっかけに、インフラ保全の重要性が改めて強く認識され、日本のメンテナンス行政は大きく動いた。

  • いまから備えるインボイス

    いまから備えるインボイス
    2023年10月以降、事業者が発行する請求書等は適格請求書等(インボイス)になります。建設業もいまから対応に向けた準備が必要です。

入札情報をメールで受け取ろう!!

2,944機関
受付中案件数
3,623 件
本日の入札件数
447 件
昨日の新着件数
1,316 件
東京都|
千代田区|
中央区|
港区|
新宿区|
文京区|
台東区|
墨田区|
江東区|
品川区|
目黒区|
大田区|
世田谷区|
渋谷区|
中野区|
杉並区|
豊島区|
板橋区|
練馬区|
北区|
荒川区|
足立区|
葛飾区|
江戸川区|
八王子市|
神奈川県|
横浜市|
川崎市|
横須賀市|
茅ケ崎市|
平塚市|
小田原市|
相模原市|
大和市|
厚木市|
静岡県|
沼津市|
富士市|
静岡市|
浜松市|
愛知県|
岐阜県|
三重県|
名古屋市|
一宮市|
春日井市|
岡崎市|
豊田市|
豊橋市|
岐阜市|
四日市市|
津市|
大阪府|
兵庫県|
京都府|
滋賀県|
和歌山県|
奈良県|
大阪市|
豊中市|
吹田市|
高槻市|
茨木市|
枚方市|
寝屋川市|
八尾市|
東大阪市|
堺市|
岸和田市|
岡山県|
岡山市|
倉敷市|
香川県|
徳島県|
高知県|
愛媛県|
高松市|
徳島市|
高知市|
松山市|
入札情報 発注予定 建設会社 経審 特集 プレスリリース 商品案内 ネット広告 建設人 予算情報