神奈川県住宅営繕事務所が相模原市内で進めていた「上溝高校本館他新築工事」が、このほど無事完成した。
同工事は、県立高校の耐震化や老朽化対策を柱とするまなびや計画≠フ一環として実施。旧本館棟と東館棟を新本館棟(延べ床面積約5000平方b)として建て替えた。新施設は、新正門からのアプローチに工夫したほか、環境に配慮して自然採光や換気を積極的に取り入れている。
建築工事に際して、計画全体を2工区に分け、第1工区(A・B棟)の施工を久野建設、第2工区(C棟)を藤井工務店がそれぞれ担当。工程が錯そうする中、安全確保を第一に、協力して作業を進めた。
県は今後、残る西館棟の耐震化・改修工事の発注も予定している。
同校は明治44年に創立。以来、100余年の歴史を持つ伝統校に、例年700人を超す若人が集う。潤水都市さがみはら≠フ懐に抱かれた新たな学び舎で、次の100年に向けた、新たな歴史を刻もうとしている。
〜新たな歴史を刻む新校舎〜
明治44年に設立され100年を越える歴史を刻む上溝高校の新校舎がこのたび竣工しました。
伝統と歴史を継承するため庭園や記念碑などを保存しつつ、校舎壁面の一部に陰影をつくり出すルーバーを設けることにより伝統校にふさわしい風格ある表情を造り出すとともに、各諸室を出来るだけ南面させ明るい室内環境を創出いたしました。
学校関係者及び工事関係者の皆さんの一致協力によって竣工の日を迎えられたことに心よりお礼を申し上げますとともに、次の100年に向かって上溝高校の一層の飛躍をお祈りいたします。
- 配置計画
建物を東西方向に長く配置し、各室をできるだけ南面させた。平面構成は中廊下型をなるべく避けた中庭型とし、管理部門を集約して、各室への移動を容易にした。
また、1階にある総合学習室は、情報ラウンジとしてさまざまな利用ニーズに対応するほか、隣接する図書閲覧室などと連続させ、大人数での授業にも対応が可能だ。
北側の2階屋上をテラスとして計画、生徒が集まって昼食を楽しんだり、身近で安全な憩いの場になるよう配慮した。
敷地内にある天皇陛下お手植えの松の木は、付近の記念碑と共に既存のまま保存、歴史ある上溝高校の記憶を継承する。 - 意匠計画
建物の南側立面は日除け・雨除けのため庇を設け、彫りの深い表情となるようにした。アプローチの正面には、陰影をつくり出すルーバーを設け、伝統校にふさわしい風格のある表情を創出している。
内部には、壁面や造作家具などに県産木材を使用し、緑豊かな森林を抱える相模原市の木材利用促進を喚起し、校舎に潤いをもたらすようにした。 - 景観・色彩計画
計画建築物が、周辺住民の環境の悪化につながらないよう、最も高い3階建ての部分を隣接地から遠い南側としたほか、最高高さも12b以下に抑えた。教室の天井高を2・8b、廊下の天井高を2・6bとし、良好な環境を確保した。
建物の色彩は、既存校舎のイメージの継承と、西館棟との連続性を考えて、外壁を無彩色系としたほか、内部も明るい無彩色で、普通教室・特別教室・管理諸室などのゾーンごとに、スチールパーテーションでテーマカラーを与え、アクセントを付けた。 - セキュリティーなど
道路に沿ったコンクリートブロック塀をメッシュフェンスに改修して見通しを良くした。また、将来的に監視カメラなどを設置できる設備計画としている。
- 工事名称
上溝高校本館他新築工事 - 工事場所
相模原市中央区上溝6−5−1 - 敷地面積
2万9955u - 建築主
神奈川県住宅営繕事務所 - 規模
鉄筋コンクリート造3階建て(A棟=2階、B棟=3階、C棟=3階)延べ約5206u - 設計・監理
洋建築企画(茅ケ崎市) - 工期
2013年12月16日〜2015年3月17日