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Catch-up <2022年10月〜11月号>

建設業に関わるトピックスを分かりやすく解説するコラム『Catch-up』バックナンバーです。
 

洪水対策と脱炭素、ハイブリッドダムで一挙両得 2022/10/7

ハイブリッドダムで一挙両得 7月に国土交通省が提唱したハイブリッドダム構想。現状でダムの貯留水は、「治水」「利水」の二つに分けて使える量を設定している。この運用を改め、どちらにも使えるハイブリッド容量≠設けようというものだ。堤体の改造や発電施設の設置などのハード整備も必要となる新しいダム事業である。
 ハイブリッドダムを実現することで、大雨が予測される場合には、より多くの貯留水を事前に放流でき、洪水への一層の備えとなる。平時には天候を見極めながら、できるだけ水を貯め込むことで、より安定的に水力発電が行えるようになる。
 全国の既存ダムをハイブリッドダムに変えることができれば、新規のダム建設に頼ることなく、治水に使えるダムの貯水容量を現状より増やすことができる。水力発電を推進することで脱炭素化にもつながる。頻発・激甚化する自然災害とカーボンニュートラルに対応できる一挙両得な構想だ。
 とは言え、成功させるためには、効果をより高めるためのダムの改造や気象予測の高度化などクリアすべき課題も多い。
 せっかくハイブリッド容量を設けても、その容量をフルに活用できなければ絵に描いた餅に終わる。例えば、事前の降雨予測が正確につかめなければ、十分な事前放流に踏み切ることができずに、大雨に備えることもできない。一方で、平時にはより多くの水量を確保することで安定的に発電することが求められる。
 そこで必要となるのが気象予測の高度化とダム容量の増大化だ。国交省では、人工知能(AI)技術を活用した気象予測の高度化と併せて、既存ダムの堤体のかさ上げや放流管の増設で、ダム容量そのものを増やすとしている。ダム全体の容量が増えれば、比例してハイブリッド容量も増え、治水・利水機能の両効果をより高めることできるからだ。
 具体化に向けて国交省は、河川管理者などのダム事業者と、水力発電に取り組む民間企業で構成するSPCなど、従来のダム事業ではなかった新たな事業スキームを想定する。事業成功のポイントは、民間企業に参入のうまみを感じてもらえるかどうか。そのためにも、既存ダムの改造などにより、水力発電を安定的に稼働し十分に採算が見込める水量を確保することが不可欠になる。
 国交省はきょう10月7日の期限で、ハイブリッドダムに関心のある民間企業とのサウンディング(官民対話)を終える。民間投資が可能な治水と水力発電(利水)を両立できる方策に加え、発電した電力を活用した地域振興策の提案も受け付けたようだ。2023年度からは具体地区を想定した実現可能性調査がスタートする。
 
 

水道行政の移管 安全、安心な「水」を守る 2022/10/21

命、暮らしに直結する水道行政には大きな責任が伴う 水道行政の大半を厚生労働省から国土交通省に移管することが決まった。次期通常国会に法案を提出し、2024年度に施行する。水道事業は地方公共団体が運営しており、人口減少による経営悪化や既設管路の老朽化に直面している。人命に直結する水道を持続可能なものとするため、国交省が持つインフラの整備、管理ノウハウを生かすことが求められる。
 今回の移管は、厚生労働省の感染症対策機能の強化に向けた組織見直しの一環だ。政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が9月に決定した。水道の整備・管理など関係する行政の大半を国土交通省が担当することになる。水質基準の策定は環境省が受け持ち、水質・衛生に関わる一部の業務について国交省と連携する。
 水道管路の整備や給水といった事業は、国直轄でなく全国の地方公共団体が行っている。特に人口減少の深刻な地方部では経営環境が厳しく、給水コストが料金単価を上回る事業体は全体の4割に上る。高度成長期に集中整備した管路の更新に加えて、災害に備えた耐震化も急務だ。
 政府はこうした課題に対し、国土交通省がインフラ整備や下水道運営、災害対応に関して有する能力・知見と、「層の厚い地方組織」を生かす方針だ。これを受けて斉藤鉄夫国交相は会見で「水道整備・管理行政のパフォーマンスの一層の向上を図るため、移管に向けて準備を進める」と述べた。
 自治体では、上下水道を同一組織で扱うケースも多い。下水道を所管する国交省への水道行政の移管は、窓口の一本化につながると期待する声も聞かれる。
 国交省での受け入れ体制は明らかになっていない。下水道を担当する水管理・国土保全局が対応するとの見方が有力だ。
 配管工事業界からは、施工会社の実情に配慮した行政を期待する声も出ている。全国管工事業協同組合連合会は、適正利潤の確保に向けて設計労務単価「配管工」の見直しを改めて働き掛ける考えだ。建築配管との違いを明確化し、屋外での水道管敷設工事に特化した積算の在り方を協議するとしている。
 水道は暮らし、そして人命に直結している基幹的なインフラの一つだ。まずは、給水を担う自治体に影響しないよう、移管を円滑に進めることが大前提となる。
 施設整備費の制約や技術職員の不足など、水道が抱えている多くの課題は、国交省が既に所管している道路、河川などのインフラとも共通している。国交省には、自治体や地方の水道工事業者の声に耳を傾け、協力して課題を解決していく姿勢を期待したい。
 
 

マンション管理で初の税制特例 進む高経年化、防げ廃墟化 2022/11/4

管理が行き届かないと他人事では済まされない事態にも… ことし4月にマンション管理業協会が創設した「マンション管理適正評価制度」。マンションの管理状態や管理組合の運営状況を6段階で評価し、インターネットで公開するものだ。全国共通の評価基準により、マンション管理の取り組みを市場評価に反映させる。
 背景には、住人の高齢化や修繕積立金の値上げなどの問題を抱え、適切な管理に向けて合意形成ができないマンション管理の実態が少なからずある。
 協会によると、建物の高経年化と居住者の高齢化という「2つの高齢化」により、管理組合の財政が逼迫し、健全な組合運営や大規模修繕工事の計画的な実施を困難にしているという。適切なマンション管理に直結する問題だ。
 横浜市が昨年度に実施した調査では、2割を超えるマンション管理者が「長期修繕計画を作成していない」(「分からない」含む)と回答した。
 マンションの維持管理は原則、所有者の責任でやるべきこと。とは言え、そう単純に割り切れない事態が滋賀県野洲市で発生した。
 築約50年のマンションが廃墟化し、市が管理者に代わり撤去工事を行った。撤去費はおよそ1億2000万円。市によると、区分所有者から費用の一部が支払われたが、全額回収のめどは立っていないという。
 管理不全のマンションについて国土交通省がアンケート調査を実施したところ、懸念される行政コストとして、自治体の8割が「現場訪問などの調査費用」、7割が「助言指導費用」、4割が「行政代執行費用」を挙げた。
 国や自治体も対策に乗り出している。国交省では4月にマンション管理適正化法を改正。管理水準を引き上げるため、マンション管理適正化推進計画を作成した自治体が、一定の基準を満たすマンション管理計画を認定し、必要に応じて、管理者に助言・指導、勧告できるようにした。6月末現在で、都道府県14団体、市区37団体が推進計画を作成した。
 管理計画認定を受けたマンションでは、リフォーム融資の金利引き下げや、修繕積立金の運用サポートも受けられる。何より「適切な管理」はマンションの市場価値を高め、所有する資産価値を高めることになる。
 国交省では、大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税減額の特例措置も要望中だ。管理計画認定を受けたマンションで、長寿命化につながる防水工事や外壁の塗装などを実施した場合に、翌年度分の固定資産税額を3分の1減額しようというもの。マンション管理に特化した初の税制特例となる。
 築40年以上の高経年マンションは現時点で全国に115万戸ある。今後10年で249万戸、20年で425万戸に増加するとされる。急激に増加する高経年マンション。必要な修繕工事がなされず老朽化が進むと、外壁がはがれ落ちるなど周辺住民にも危害を及ぼしかねない。行政代執行による除却となれば自治体にも大きな負担となる。適切な管理が一層求められる。
 
 

インフラも防衛力に 施設整備に「特定枠」 2022/11/18

空港、港湾インフラも「防衛力」と捉え、整備・活用する議論が進む 政府は9月、「防衛力の5年以内の抜本的強化」に向けた有識者会議を立ち上げた。テーマの一つは空港や港湾といった、有事の際に自衛隊・海上保安庁が利用する公共インフラの整備の在り方だ。会議では、安全保障上のニーズを踏まえて国土交通省が関係府省と連携する仕組みを創設する方向性を提示。整備・機能強化に必要な経費の「特定枠」を設けるイメージを打ち出した。
 平時は民間が利用する空港や港湾などのインフラを、有事に自衛隊・海保が優先的に利用する制度自体はこれまでもあった。岸田文雄首相は、安全保障環境が厳しさを増しているとの認識の下、「政府全体の資源と能力を総合的かつ効率的に活用」する考えを表明。有事の利用を念頭に、平時からインフラの整備や利用ルール作成を省庁連携で進めることとした。
 自衛隊による公共インフラの利用実績は少なくない。国交省のまとめでは、2016年度以降に全国で自衛隊艦船の利用があった重要港湾以上の扱いの港湾は40カ所に及ぶ。空港についても、秋田、山形、新潟、名古屋、八尾、福岡、熊本、那覇の各空港に隣接して自衛隊の基地・駐屯地が存在し、自衛隊機が使用したことがあるという。
 海上保安庁でも、公共岸壁に巡視船を係留する例は多い。船舶や航空機を増強しようとしても、岸壁・格納庫の不足が制約となっているのが現状だ。
 11月9日の会議では、自衛隊と海上保安庁のニーズに基づき、国交省が関係府省と連携しながら港湾・空港などの公共インフラの整備、機能強化を行う枠組みを示した。
 具体的には、▽南西地域(特に先島諸島)での空港・港湾の新設、強化▽自衛隊・海保の配備、利用が想定される空港・港湾の強化▽国民保護に必要な空港・港湾の強化―などを想定。これらを「特定重要拠点空港・港湾」(仮称)と位置付け、国家安全保障会議、防衛省、国交省などの会議で整備・運用方針を定めるイメージだ。
 これを踏まえて国交省が空港法・港湾法に基づく基本方針に反映する。必要に応じて整備を進めるとともに、利用規程を整える。空港・港湾にアクセスするための高規格道路を含め、整備に必要な経費のための特定枠を設ける方向性も示した。
 有識者会議は年内にも意見をまとめる。その内容を踏まえ、24年度から5年間の防衛予算を示す中期防衛力整備計画(中期防)などの文書に反映していく。防衛関係の財政需要の拡大を見越し、税負担を視野に入れた議論も始まった。
 空港・港湾は、人・モノ・エネルギーの輸送を担う、わが国の重要なインフラだ。安全保障という新たな役割を加える以上は民生利用の調整のみで対応せず、適切に機能を強化することが望ましい。財源として新たな国民負担を強いるのであれば、丁寧に事業の必要性を示し、理解を得なくてはならない。

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