世界一安全・安心な都市実現へ|建通新聞社

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世界一安全・安心な都市実現へ

〜高度防災都市など視点に事業展開〜

インタビュー


横溝良一

 舛添要一東京都知事が最重要課題に掲げる「世界一の都市 東京」の実現。福祉施策の充実、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの成功とともに、柱の一つに位置付けるのが「世界一安全・安心な都市」だ。首都直下地震や局地的な集中豪雨などへの備え、そして膨大なインフラを安心して利用し続けるための適切な維持管理といった取り組みが急がれている。
五輪開催を控え、こうした取り組みをどのように進めていくのか。横溝良一東京都技監に聞いた。


五輪後も見据えて事業展開


―安全・安心の確保のために都が取り組む施策とは何か。
「20年のオリンピック・パラリンピックの東京開催を控え、まず競技会場の建設や関連するインフラ整備などを期限内に完了させる必要がある。当面は五輪に関連する事業に重点を置いて進めていかなければならない」
「一方で“五輪後の東京”を見据えた取り組みも並行して展開する必要がある。五輪開催は、過去に整備されたさまざなな都市基盤について、必要な見直しや機能を向上させるための大きな契機となる。道路、河川、港湾、上下水道など膨大なインフラの更新、耐震化などの対策が不可欠だ。年度間の事業量の平準化にも配慮しながら『高度防災都市づくり』『戦略的メンテナンス』『インフラの多機能利用』の三つの視点で事業を進めていく」


さまざまな施策をパッケージ化


―高度防災都市づくりではどのような対策を進めるのか。
「木密地域での特定整備路線の早期完成や、地震や津波、浸水対策などの計画を早期に実施し、安全性を高めることが重要。関連する分野で各局が連携し、限られた人員と時間の中でスピード感を持って事業を進めることが欠かせないと考えている」
「例えば都の治水対策に関して言えば、近年の局地的な豪雨に対応するため、目標整備水準を区部で時間雨量75_、多摩部で同65_に引き上げた。建設局が新たな地下調節池の整備を進める一方、下水道局が流域対策として一定規模以上の床上浸水のあった地域で既存の下水道幹線の下に新たな幹線を整備する方針を打ち出している。今後は流域を越えた地下調節池のネットワーク化や、河川と下水道の連携など、さまざまな施策をパッケージ化することで効果的・効率的に事業を展開していきたい」

「昨年の大島に続き、今年は広島で大規模な土砂災害が発生した。土砂災害対策は砂防堰堤の整備などのハード対策、土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定によるソフト対策の両面から推進することが重要となる。都はハード面の整備に加え、警戒区域・特別警戒区域の指定に必要な基礎調査を進めており、都内全域で想定される約1万5000カ所のうち、現在までに警戒区域6993カ所、特別警戒区域3986カ所を指定している。区域の指定については、地価の下落や開発の妨げになることが心配されて地元の理解が得られず、指定が進んでいない事例もある。ただ、局地的な豪雨が多発している中で、どこかで土砂災害が発生する可能性は否定できないため、市町村や地元の理解を得ながら、都の責任として着実に指定を進めていく必要があると感じている」

「この他にも、木密地域不燃化10年プロジェクトに基づくまちづくりへの支援や、緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化についても、地元区や建設業をはじめとした関係団体の理解、協力を得ながら着実に進めていく」


維持管理から運営へ


―インフラのメンテナンスはどのように対応するのか。
「まず点検しやすく、危険箇所を発見しやすくするために、既存の橋梁やトンネルなどの見にくい場所に照明を付けたり、点検路を確保するような地道な取り組みを進めている。予防保全型の取り組みでは、橋梁に続いてトンネル、河川での対応の検討を始めた。斜面にセンサーを付けて変動を計測するといった新技術を活用した取り組みも開始した」
「そして『維持管理から運営へ』の転換だ。エリアマネジメント、ファシリティーマネジメントの視点をインフラの維持管理に取り入れていきたい」

「パリではシャンゼリゼ通りをはじめ、まちなかにオープンカフェがあり、市が占用料を徴収し、それを維持管理費に充てている。都の“かわてらす”や“東京シャンゼリゼプロジェクト”は、現段階では社会実験的な意味合いが強いが、にぎわいを創出しつつ、都民の税金をできる限り使わずに維持管理ができるような仕組みを構築したい。まちづくりについても同様に、地元の区市町村や住民が協力し、エリア全体をどのようなまちにしていくのか、どう維持管理・運営していくかを考える仕組みを構築し、より良いまちづくりを進めていきたい。五輪後も見据えて、こうしたインフラの多機能利用を考えていきたい」


無電柱化を加速


―この他に重点を置く施策は。
「まちの景観だけでなく防災性を向上させるため、無電柱化の取り組みも加速させたい。都は、いわゆるセンターコアエリア内の計画幅員で完成した都道の無電柱化を五輪までに完了させる考えだが、区道などについても整備を加速したいと考えて、13年度に競技会場周辺の区市道の無電柱化を国と都でほぼ全額補助する仕組みを作っている。国道や都道だけでなく、区道や市道などの無電柱化を円滑に進めるため、例えば、トランスなどの地上機器を道路外に設置する検討や、国などに新たな技術開発の提案を求めていくことも必要だろう」

「課題が指摘される交通体系のうち道路整備については、東京外かく環状道路と首都圏中央連絡自動車道、首都高速中央環状線の“三環状”の整備が進むことで、これまでと交通環境が大きく変わろうとしている。圏央道の相模原愛川インターチェンジ(IC、神奈川県厚木市)〜高尾山IC(八王子市)間の6月の開通により、環状8号線や東名高速道路の交通量が5%減った。五輪までに三環状整備の約9割が完了する見通しとなっており、都心を通過する必要のない交通がさらに減少するだろう。これに併せてシームレスな料金体系を構築することができれば、都内の交通環境は大きく変わる。そうなれば、例えば歩道を広げることでにぎわいの空間として提供することや、車のスピード制限を低く抑えることで歩行者や自転車が安全に通行できるようにすることも可能だろう」
「これらを進めるためにも、パートナーである建設業界の方々との連携が不可欠である。これまでも積極的に意見交換を行ってきたが、これからはオリンピックを目標により深い議論を交わしていくので、よろしくお願いしたい」

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