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首都機能の維持へ都が強靱化計画

〜東日本大震災を教訓に災害対応力強化
ハード・ソフト組み合わせ、総合的に推進〜

 マグニチュード9.0という巨大な地震エネルギーとそれによって引き起こされた巨大津波により未曾有の被害をもたらした東日本大震災。東北地方から関東地方に至る沿岸部では津波による壊滅的な被害が発生し、電源を失った福島第一原子力発電所では炉心が溶融し大量の放射能が放出された。液状化現象や地盤沈下などによって電気やガス、下水道、道路といった多くのライフラインが寸断するなど、災害への対応を根本的に見直すきっかけとなった震災から5年が経過する。この間、ハード・ソフト両面からの復旧・復興が本格化するとともに、震災のメカニズムの解明、南海トラフや首都直下など巨大地震の被害想定と対応策の検討が進められ、「何ができなかったのか」「何ができたのか」「何をすべきなのか」が明らかになりつつある。
首都機能を有し“日本の心臓”である東京は、いかに自然災害に対してその機能を維持していくのか。そのために行政は、そして建設産業界は何ができるのか、何をすべきなのか。

 

外景

 

 震災による教訓、その後に得られた知見を基に、東京都は今後の防災施策の羅針盤となる「東京都国土強靱(きょうじん)化地域計画」を策定した。大規模自然災害発生時の人命保護や必要不可欠な行政機能の確保といった推進目標を設定し、それを実現するため、建築物の耐震化や防災上重要な公共施設・ライフラインの災害対応力強化・代替施設の整備、電気通信設備の耐震化や移動・可搬型基地局の整備、ライフラインシステムの多重化・複線化などの取り組みを進める方針を盛り込んだ。
国土強靱化基本法に基づく地域計画として策定した都の計画は、既に定めているさまざまな防災計画や、それに基づく具体的な取り組みを体系化したもの。首都東京が自然災害に対してその機能を維持できなければ、日本の存亡にかかわるとの判断から、都のあらゆる施策を強靱化の観点に沿って見直した。

 

人命保護を最大限化

 

 都は大規模自然災害が発生した際の人命保護を最大限化する。区部東部や地下街での水害、山手線外周部の木造住宅密集地域、島しょ地域での火山噴火・津波、丘陵地帯での土砂災害など、それぞれの地域で発生しうる危険性に応じた適切な対策を講じる。建築物の耐震化・不燃化や都市基盤施設の整備などハード面と、防災訓練などソフト面の対策を組み合わせた総合的な対策を推進していく。
具体的な取り組みとしては、老朽マンションの建て替えなど住宅の耐震化や民間を含む学校施設の耐震化を総合的に推進する他、交通施設と沿道建築物の複合的な倒壊を避けるため、主要な鉄道施設や緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を促す。都市計画道路の整備や都立公園への非常用発電設備などの配備も進めていく考えだ。
広範囲に及ぶ大規模津波による被害を最小化するため、東部低地帯にある堤防や全水門の耐震・耐水化を加速し、鉄道橋梁の架け替えと併せた堤防の嵩上げなども実施。東京港沿岸部の海岸保全施設についても防潮堤や内部護岸、水門・排水機場の耐震・耐水対策を進める。島しょ地域では堤防の嵩上げや津波避難施設の整備を行う。
局地的な集中豪雨への対策として、河川での護岸整備を進めつつ、調節池を完成させて都内全域の貯留量を拡大する。下水道から河川への放流量の段階的増量や、広域調節池と下水道幹線の接続など河川と下水道の連携策も推進する。

 

救助・救急、医療を迅速化

 

 迅速な救助・救急、医療活動につなげるため三環状道路の整備を推進し、首都圏の港湾や空港など陸・海・空の拠点を結ぶ広域的な高速道路ネットワークを完成させるとともに、近隣県市と協議しながら都県境の道路整備を進める。
学校や病院などでは老朽化対策と併せて耐食性・耐震性に優れたガス管への取り換えを促す。ラジオ中継局の整備、鉄道の高架橋や橋上駅舎の耐震補強などをそれぞれの事業者に求めていく。
多摩島しょ地域では、土石流やがけ崩れの危険性の高い箇所、過去に災害が発生した箇所で砂防堰堤や法枠工などの砂防施設整備を進め、火山噴火や土砂災害で道路が寸断される可能性がある場所で線形改良や代替路の整備などを実施する。
また、大規模自然災害の発生直後から救助・救急、医療活動が迅速に展開できるよう、三環状道路など陸・海・空の拠点を結ぶ広域的な高速道路ネットワークを完成させる一方、都県境を越えた道路ネットワークを整備していく。緊急物資の円滑な輸送を確保するため、港湾施設や航空施設についても耐震・耐波性能を強化。緊急輸送道路に架かる橋梁の新設・架け替え・耐震補強、無電柱化などにも取り組む。

 

安全・安心の確保は国際公約

 

 都の国土強靱化地域計画は既定の事業の有する防災・減災の役割を再認識しつつ“起こり得る災害”への備えを万全にするため、官民それぞれの役割分担を含めた取り組みを明確にした。2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会を控え、安全・安心を確保することは国際公約でもある。災害に対する弱点を強みに変え、世界一安全・安心な都市を実現させなければならない。

 

伊賀市役所

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