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電帳法対応で脱”どんぶり”          K失敗しないデジタル化の進め方(2)【最終回】

DXに向けてシステム導入を建設会社が決めた場合、これが成功するかどうかは責任者の力であり、この責任者を誰にするかが成否を分けると言っても過言ではありません。
 このとき、役職ではなく個人の資質に注目することが重要です。責任者を選ぶ際、ITに精通している社員と、会社全体の業務に詳しい社員のどちらを選ぶべきでしょうか。答えは後者です。DXは単純なIT化ではなく、会社全体の業務を見渡すことができる人材が適任です。
 原価管理システムの導入を例にすると、複数の部署にまたがって業務の運用を変えることが必要です。部署間で意思統一できればいいですが、一致しないこともあるはずです。その時、責任者に求められるのは業務を俯瞰(ふかん)して落とし所を見つけ、部署間を調整できる力です。逆に、ITに詳しくても業務を俯瞰できないと、後々のトラブルにつながり、DXが途中で頓挫してしまう恐れすらあります。
 責任者を複数置くこともお薦めしません。「責任」を明確にしないと、いつまでも物事が進まない恐れが強まるからです。責任者を補佐する立場を置くのは構いませんが、責任者はあくまでも一人にする方がいいでしょう。
 社長のリーダーシップも重要です。責任者に任せきりにせず、定期的に進捗状況をチェックし、目標を達成できるかを確認します。DXに対する社内の反対意見の全てを、担当責任者に任せるのは負担が重過ぎます。社長は責任者がやりやすい環境をつくる意識を持ち、目標達成をサポートする必要があります。
 私が以前、原価管理システム導入を決めた会社で使い方を説明した時、工事部長から猛反対を受けたことがあります。社長がいる間は説明を聞くけれど、社長がいなくなると全く無視をするという具合で苦労しました。ですが、この会社は最終的にシステムをきちんと活用し、原価率が20%も改善しました。それができたのは、やはり社長のリーダーシップの大きさでした。その社長は毎日、システムへの入力状況をチェックし、漏れがあると担当者に口酸っぱく指導をしていました。成功の鍵は、経営者が「何のためのDXなのか」という点を繰り返し社員に伝えることだと思います。
 今、中小建設会社は電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を迫られています。これをDX化へのチャンスと捉え、「どんぶり勘定」からの脱却や生産性向上へのきっかけとしてもらえれば幸いです。(寄稿 三國浩明建設ドットウェブ代表取締役社長)

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執筆者プロフィール

株式会社建設ドットウェブ 代表取締役社長 三國浩明
三國浩明
株式会社建設ドットウェブ 代表取締役社長
土木建築会社に就職するも、コンピュータ業界に未来を感じ退職。長年に渡り、建設会社のデジタル化に従事し2001年に、原価管理システム開発会社を創業。2019年には、税理士や金融機関などに中小建設会社の経営ノウハウを発信する原価管理研究会を発足。著書として「利益を生み出す 中小建設業 原価管https://www.kentsu.co.jp/mlmg/1018/news/image/000000000001_p.jpg理術」(幻冬者)がある。
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