建設経済の最新分析A インフラ海外展開 将来有望な投資国と分野|建設ニュース 入札情報、落札情報、建設会社の情報は建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞
建通新聞

ログイン

建設経済の最新分析Aインフラ海外展開 将来有望な投資国と分野

日本の建設企業が「どの国にどのように海外展開するのが良いか」について、インフラ投資の新たな動向を踏まえながら、CAGE分析手法を用いて検討した。
 CAGE分析は、経営学の分析手法のひとつで、Culture Distance(文化的隔たり)、Administrative Distance(行政的隔たり)、Geographic Distance(地理的隔たり)、Economic Distance(経済的隔たり)の四つの要素から分析を行うもので、その結果、これまでに日本企業の投資実績が多い国以外の将来有望な国として、市場成長の観点からはカザフスタン、カンボジア、バングラデシュ、トルコなどが挙げられ、投資環境の観点からはニュージーランドなどが挙げられることが分かった=図参照。
 また、各国における昨今のインフラ投資に関する政策を分析したこところ、エネルギー分野、防災・減災分野、デジタル分野などで取り組みが進められており、中でも再生可能エネルギー分野については、欧州連合(EU)や米国をはじめとした先進国だけでなく東南アジアの国々でも風力発電や太陽光発電に取り組んでいる他、防災・減災分野については、各国で日本が持つノウハウを生かせる環境が広がりを見せている。
 政府は「インフラシステム輸出戦略(2020年度改訂版)」(20年7月)や、「インフラシステム海外展開戦略2025」(20年12月)などで、官民一体の積極的なインフラ輸出を推奨している。また、20年に設立されたJIPAD(防災技術の海外展開に向けた官民連絡会)は内閣府を中心とした省庁横断型の組織であり、海外各国に対して日本の防災政策、技術やノウハウを紹介するとともに、官民ネットワークの構築により防災協力関係を強化している。
 CAGE分析はあくまで理論上のものであり、当該国の政情をはじめ、実際に日本企業が展開するにあたっては、さまざまな課題があろう。言語の違い、法制度や契約形態など商慣行の違い、現地での人材確保や人材教育など日本の建設企業が越えなければならない壁は高いかもしれないが、他国企業と競争していくためにも、各社の取り組みの枠を超え、協力しながら課題解決に取り組んでいく必要があるのではないだろうか。
(建設経済研究所 元研究員 矢島知佳子)

いいね 0 ツイート

執筆者プロフィール



人と建設と未来ラボ
スマホ記事中バナーC
あなたの知識やノウハウなどを建通新聞社ホームページで伝えてみませんか?
電子版のお申し込みはこちら 新聞(宅配)のお申し込みはこちら
カタログカタログ