建設業の戦略営業−営業マネジメント編−  第11回「営業情報の共有化(2)」 |建設ニュース 入札情報、落札情報、建設会社の情報は建通新聞社

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建設業の戦略営業−営業マネジメント編−  第11回「営業情報の共有化(2)」

営業組織の中で情報共有化を進めていくには、その活動が継続的に実施
されるための仕組みづくりが重要である。
そのための鍵となるのが、営業担当者が帰社後に作成する営業日報報告
であり、もう一つは営業会議体の活用である。どちらも形式的なスタイ
ルではなく、情報共有化のための目的意識を持った活動にしていくこと
が、仕組みづくりにとって必要だ。

7.営業情報の共有化(2)
1.情報共有化の仕組みづくり
前回は営業情報の共有化の重要性として、共有化することによる情報量
のアップ、営業活動の改善、受注促進というメリットの部分について解
説させていただいた。
営業組織内で情報を共有化することについてのプラスメリットを強調し
たが、一方で良いことづくしの情報共有化がなぜ進まないのかと言えば
、それは総論では皆必要性を理解しているものの、それを実践するとな
ると組織の中にそれを具現化するための仕組みがないことに起因してい
る場合が多いと思われる。
@日報は誰のために書いているか
筆者の経験から、建設企業の営業部門においては営業日報を各営業担当
者に作成・提出を義務付けているところが比較的多い。企業によっては
営業日報を情報システム化し、各出先の事業所で入力した営業日報情報
がイントラネットの中ですべての営業担当者が自由に閲覧できるように
している企業もある。
しかしながら、筆者の方から「営業日報を作成後、上司や仲間からフィ
ードバックはありますか?」と問いかけると、ほとんどの営業担当者か
らの答えは「全くと言っていいほどありません」と答える。
これは、建設企業の営業管理職の大半がプレーイングマネジャーである
ことにも関係しうるものと思われるが、結局のところ意識して営業日報
による情報交換を行おうという組織風土が薄いと言わざるを得ない。
営業日報を書くことの意義は大きく二つある。第1は営業担当者自らが
営業活動を振り返り、顧客とどのような商談を進め、そして今後どのよ
うな営業展開を行っていくかを検討するために書くということ。1回1回
の営業活動を点として捉えるのではなく、顧客ごとに一つの商談の流れ
の中で、線として捉えるのだ。
第2は、営業日報をコミュニケーションツールとして、上司・同僚との
情報共有化の道具として活用すること。営業担当者は会社に帰社後、営
業日報を作成し、これを上司とのマンツーマンもしくは営業チーム内の
日報ミーティングの中で営業活動報告を行うのである。そのためには特
に上司である営業管理職の場合、営業担当者が夕方帰社するまで会社に
残り、報告を待たねばならない。
施工部門は工事担当者も管理職も夜遅くまで会社に残っているケースは
珍しくないが、営業部門となると夕方6時を過ぎると誰もいなくなるな
どどということが貴社ではないだろうか。もし、心当たりがあれば、そ
のようなところから仕組みを変えていかないと情報共有化はおぼつかな
いのである。
A会議体の有効活用
月次や週間で営業会議を行っている企業は多い。しかしながら、その中
身となると営業管理職と各営業担当者との間での1対1の工事見込案件
の単なる見込度の確認で終始しているケースが多いように思われる。
見込度の確認そのものは決して悪いことではないが、目的意識を持って
情報共有化を進めていくのであれば、出件の経緯や法人であれば担当者
との折衝状況、競合会社の状況やその中で自社の優位性を促進するため
の手段などを会議の中で確認し、受注するための有意義な意見交換を行
うことにより、会議体が活性化される。
このような情報共有化を活発化させるためには営業チームの人数にもよ
るがある程度の時間を会議体のために割かなくては十分な意見交換にな
らない。しかし、このような話を営業部門に投げかけると営業現場から
は「忙しくて、そのような時間は取れない」というネガティブな意見が
返ってきたりする。できないと考える前に、情報共有化のための時間を
確保するために、どうすればいいかを考えなくては、何をやっても継続
性なく終わってしまう。物理的には営業活動の時間を確保しながら、情
報共有化を行っていこうとすると早朝や夕方、もしくは土曜日などにそ
の時間を割り当てなければならない。
このような活動を継続的に実施するために、営業管理職は営業チームの
メンバー全員に対して、情報共有化の目的や重要性をきちんと理解・徹
底させなければならない。

問い合わせ先
(株)日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所
TEL 03(3950)1178 FAX 03(3952)0430
URL http://www.niccon.co.jp/kensetsu/
E-MAIL kensetsu@niccon.co.jp
ご質問にはお答えできない場合もございますのでご了承ください。

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執筆者プロフィール



株式会社日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所  副部長コンサルタント 酒井誠一
人と建設と未来ラボ2
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