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建設業の戦略営業−営業マネジメント編−  第13回「他部門との組織的な相互関係(1)」

建設営業が他業界の営業と比較して異なる点は、営業担当者がスタート
からゴールまで、受注獲得のためにすべてを一気通貫の個人技でこなす
ことが稀であり、基本的には積算や設計、工事などの技術部門と連携す
ることが多いということだろう。
企業が当初決めた完工高目標を達成するには、毎月安定した受注量を確
保するためのアドバンス営業が重要であり、営業管理職は工事見込み案
件をコントロールするために、営業チームの中で見込み度を判断する基
準を明確にすべきである。

9.他部門との組織的な相互関係(1)
チーム営業の6項目について語ってきたが、今回からは、その最後とし
て他部門との組織的な相互関係について解説する。
建設営業が他業界の営業と比較して異なる点は、営業担当者がスタート
からゴールまで受注獲得のためにすべてを一気通貫の個人技でこなすこ
とが稀で、基本的には積算や設計、工事などの技術部門と連携すること
が多いということだろう。逆に言えばそれだけ他部門と協業する場面が
多く、受注の成否もその連携具合にかかっているといわざるをえない。
チーム営業として進めるべき他部門との組織的な相互関係とは、どのよ
うな関係づくりが必要であろうか。
@アドバンス営業の重要性
あなたの企業では年間の受注目標をさらに月ごとに設定し、営業部門の
中で月ごとの受注目標を達成するための管理(コントロール)をどの程
度行っているだろうか。企業によっては、この月別の目標が不明確であ
ったり、設定されていても、目標が達成できてもできなくても「しょう
がない」で終わってしまっているところがある。
このような企業に共通していえるのは、月別の出来高目標が企業内で明
確になっていないことにある。出来高目標とは1年間の完工高の目標を
12カ月に配分したものであり、仮にある企業が年間60億円の完工高を上
げなくてはならないと仮定すれば、月平均5億円の出来高を上げなくて
はならない(実際には季節指数等により均等にはならないが)。特に官
庁工事の比率の高い企業の場合、1年の中で年末および年度末の時期の
出来高は非常に高く、逆に5月〜8月ごろの閑散期は出来高が低い。
営業サイドからすれば年間の受注目標の達成が大命題であるが、企業経
営的には12カ月の出来高をコンスタントに積み上げていかなくては目標
の完工高が上げられず、求める収益が達成できなくなる可能性が出てく
る。
そこで、営業組織は単に年間受注目標の帳尻を合わせるのではなく、月
別の受注目標をクリアすることにより、工事部門に安定した出来高を上
げさせ、企業収益に貢献しなくてはならない。これをアドバンス営業と
言う。月ごとに安定した受注を上げるために、営業管理職は工事見込案
件の見込み度についての判定基準を持ち、案件の受注可能性を見極めな
がら受注をコントロールしなければならない。これは、営業チーム全体
の受注管理のみならず、工事部門との連携においても極めて重要であ
る。なぜなら、建築・土木の別を問わず、受注した工事は現場代理人を
当てはめなければならないし、現場代理人がいなければ、受注したくて
もできないことにもなる。そのため工事部門は、技術者の空き状況をみ
ながら適切な人員を割り振らねばならず、工事部門サイドからすれば、
「いつから技術者を配置するのか」の状況を、あらかじめ把握しながら
ローテーションを管理していくことが大事なのである。
見込み判定は、企業によってA、B、Cなどのアルファベットや、内定、
見込み、運動中などの言葉で何らかのランク付けを行っている。ただ、
それらの見込み判定の基準がきわめて営業担当者の主観的な判断でラン
ク付けされているケースがほとんどである。このような見込み判定基準
では当月の受注予定が崩れたり、あるいは見込み度の弱かった工事案件
がいきなり受注に上がったりして、工事部門との現場代理人調整に支障
をきたすことになったりする。
そこで、営業チームの中で見込み度を受注確率ごとにランク付けする際
に、その根拠となる基準を明確にすべきである。主な見込み判定の基準
としては発注(決定)時期、予算把握、キーマンとの接触、競合の状況
、資金の手当て、見積価格の反応等々についての状況が受注に有利に動
いているのかどうかで見込み度を判断していく。つまりは、これら複数
の判断基準がある程度満たされていなければ、安易に見込み度を高くし
てはならないということであり、そしてこれらの判断基準を工事部門な
どの関連部門と共有化することにより、お互いに今後の受注予定を確認
しながら、工事部門は現場代理人の配置を検討し、積算や設計部門など
は見込み度の高低をふまえて工事物件ごとに積算や設計業務の優先順位
付けなどを行っていく。

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執筆者プロフィール



株式会社日本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所  副部長コンサルタント 酒井誠一
人と建設と未来ラボ2
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