建設業の戦略営業−営業マネジメント編− 　第14回「他部門との組織的な相互関係（2）」｜建設ニュース　入札情報、落札情報、建設会社の情報は建通新聞社

建設業の戦略営業−営業マネジメント編− 　第14回「他部門との組織的な相互関係（2）」

組織営業とは一言で言えば、「組織横断的に情報・ノウハウの共有化を
進めながら、全社的な取り組みで受注に結びつける活動」のことを言う
。営業が主体的に動く必要性はもちろんであるが、他部門のメンバーに
対し、受注に向けて積極的に参画させることができなければ真の組織営
業とはならない。営業管理職は組織営業をリードし、他部門の関係者か
らの協力体制を取りつけ、受注に向けての活動を、組織として集中的に
行っていくことが重要である。

9.他部門との組織的な相互関係（2）
前回は、企業が当初決めた完工高目標を達成するには毎月安定した受注
量を確保するためのアドバンス営業が重要であり、営業管理職は工事見
込み案件をコントロールするために営業チームの中で見込み度を判断す
る基準を明確にし、組織の中で営業と技術部門が情報を共有化しながら
進めていくことの重要性を解説した。今回は組織営業の重要性について
解説したい。

2）組織営業の重要性
組織営業という言葉を用いなくても、営業と他部門（主に工事部門）の
メンバーとで協調しながら営業活動を進めていくことは、建設各社とも
大なり小なり行っているはずである。しかしながら、受注という目標に
向かって組織として機能的な動きや営業体制が取れているかどうかとな
ると、企業の中には温度差があるものと思われる。
組織営業とは一言で言えば、「組織横断的に情報・ノウハウの共有化を
進めながら、全社的な取り組みで受注に結びつける活動」のことを言う
。営業が主体的に動く必要性はもちろんであるが、他部門のメンバーに
対し、受注に向けて積極的に参画させることができなければ真の組織営
業とはならない。

�@積極的な応援・支援活動
建設業の営業は工事見込案件が具体化すると必ず積算・見積業務が発生
する。建設企業によっては積算部門を営業部門の中に取り込み、迅速か
つ営業サイドに立った（受注を優先させる）積算業務を行っているとこ
ろが出てきているが、大半の企業は工事部門（中小の場合は積算の専門
部署が無く、工事部門の管理職が積算を行うケースが多い）もしくは営
業と工事との間の中立的な立場においている。
営業管理職は、営業チームの中で工事案件に積算・見積業務が発生した
場合は営業担当者と積算担当者との連絡調整を行い、顧客からの要求事
項（予算、仕様など）や見積書に記載すべき内容を漏れなく社内伝達を
行い、提出期限に間に合うように作成されるためのコーディネートを行
わなければならない。これらの活動を営業担当者任せにするとその間の
やり取りが見えないだけでなく社内的なコミュニケーションの不足や遅
れによって営業活動に支障が出てくる恐れもある。
また、積算担当者や設計、工事の担当者などと、必要に応じては客先へ
同行営業などを行う場合も出てくる。このような場合、忙しい彼らを営
業支援活動に駆り出すことも営業管理職の仕事である。営業管理職は、
営業担当者とともに同行営業の目的と顧客からの要求事項を事前に伝達
し、訪問した際に土地や既存施設を調査したり、相手から聞きだしたり
すべきことを前もって同行者と打ち合わせを行い、訪問にあたって効率
よく何度も足を運ぶような事にならないように段取りしなければならな
い。

�A受注前施工検討会の必要性
貴社の工事部門では工事受注後の施工検討会を行っていると思うが、受
注後ではなく受注前の施工検討会は行っておられるだろうか。顧客から
の要求事項は価格、設計、技術（ＶＥ提案含む）、企画内容等々さまざ
まあり、すべてを営業だけの手で処理することはできない。
そこでより他社との競合に勝ち残るために営業管理職は他部門の関係者
に対し招集をかけ、受注獲得のために受注前施工検討会を主催し、顧客
に対しどのような提案やアプローチを行っていくかを協議することによ
り、組織をあげての営業活動を展開していく。筆者の経験では競争力の
ある会社や特命比率の高い会社は特にこの受注前施工検討会に力を入れ
ているところが多いように思われる。

営業管理職は常に他部門の関係者と良好なコミュニケーションを保ち、
まわりから「受注に協力したい」という意欲をモチベートさせることに
ある。組織営業はこのように組織横断的な集合を核として、受注に向け
て相乗効果を発揮していくことが組織としての営業の強さになるのであ
る。

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