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連載コラム これで解決!問題社員の労務トラブル 〜会社も安心!社員も納得!〜 =第4回=「試用期間は期間だけ決めても意味がない?」

「せっかく採用したものの想定以上に本人に能力がなく、また入社後1週間ごろから遅刻・欠勤が目立つなど勤務態度が良くありません。何度注意しても遅刻は減らず、仕事も相変わらず遅い。このままでは改善が期待できそうにないため、残念ながら試用期間満了で採用を取り消したいと考えています。どんな点に注意すればいいでしょうか」という相談を受けました。

労働基準法では、試用期間中の社員を解雇する場合、「入社日から14日以内であれば解雇予告手当を支払わずに解雇できる」としています。ただし、この14日を超えた後に、試用期間満了時点で会社から一方的に採用取り消しの扱いをする場合は、通常の社員と同様に「解雇」として扱わなければいけません。場合によっては、解雇予告手当の支払いも必要になります。つまり会社が思っている以上に、簡単には社員を辞めさせることはできないのです。

現実として14日以内という短期間で社員の実力を判断できるものではありませんので、一般的には3カ月や6カ月など一定の試用期間を設け、社員の能力などを判断し、また社員も会社が自分に合うかどうかを判断します。よほどのことがない限り、試用期間終了後もそのまま社員として採用されるのですが、中には試用期間中に採用を取り消さざるを得ない場合がでてきます。
一方で、試用期間中であれば、「期間の長短に関わらず会社が一方的に解雇できる」と考えている経営者の方がいらっしゃいますが、そんなことをしては「解雇権の濫用」に該当してしまいます。
では会社として、試用期間にどのような対応をすべきなのでしょうか。

まず、採用取り消しという残念な結果になった場合でも、社員・会社の双方が納得できるよう、就業規則に採用取り消しとなってしまう行為や事由がどのようなものかを具体的に定めるようにします。
市販のものやサンプル規程は、ごく一般的な内容であり、必要最低限のものを当たり障りなく定めているのが通常です。もちろん業界特有の労務トラブルは想定していません。これをそのまま使っていると、就業規則の内容そのものが曖昧(あいまい)なため、自社の風土や就業ルールにそぐわず、かえって労務トラブルを引き起こしかねません。まずは就業規則に、どのように定めるかをしっかり検討してください。

また、入社してしばらくの間は、意見を言いにくいなど、無意識の内に遠慮し合いコミュニケーションギャップが生じがちです。試用期間中は、社員との面談を定期(最低でも月1回)に行い、十分なコミュニケーションを取るようにします。特に、試用期間満了の1カ月前には必ず実施するようにしてください。
業務の進め方に問題がある、勤務態度などに問題がある場合などは、面談の場で注意・指導し改善を求めていきます。面談は社員対上司が1:1では行わず、直接指導しているリーダーと上司など複数が面談に参加するようにし、必ず面談内容に関するレポートを取って双方の言動に齟齬(そご)が生じないようにします。
社員も面談の場では、勤務上での疑問点などを率直に伝えることを心掛けましょう。

採用取り消しに至ってしまうケースの多くは、コミュニケーションギャップが一因になっています。就業規則の整備など事前の労務トラブル回避策を講じておくことも大切ですが、十分にコミュニケーションがとれるような仕組みづくりも一考の余地があると考えます。

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